1997 Fiscal Year Annual Research Report
ウニ初期胚におけるHomeobox遺伝子の機能の解析
Project/Area Number |
09780677
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
弥益 恭 埼玉大学, 理学部, 助教授 (60230439)
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Keywords | 初期発生 / 進化 / ウニ / ホメオボックス / 転写制御 / プロモーター / 脳形成 / ボディープラン |
Research Abstract |
動物の基本的体制の確立には、様々なHomeodomainタンパク質が重要な役割を果たすことが知られる。近年、Gbx2と呼ばれる新しい型のHomeodomainタンパク質が脊椎動物において、脳の形成、特に後脳および中脳の形成に関与することが示唆されている。本研究者らは、脊椎動物とともに後口動物に属するウニ(ムラサキウニ)より、RT-PCR法を用いて様々なウニHomeodomainタンパク質のcDNA断片をクローニングしているが、その中でウニGbx2相同遺伝子由来と考えられるものを得ることができた(AcGbx)。この遺伝子の時間的および空間的な発現調節、さらにウニ初期胚における役割を検討することは、ウニ初期発生の機構の理解のみならず、後口動物の進化、とくに脊椎動物で顕著となる中枢神経系の確立の過程を知る上で興味深い。そこで、得られたPCR断片をプローブとして、まずcDNAライブラリーのスクリーニングを行い、すでに複数のクローンを得ている。現在、構造解析を行う一方、発現の時期、組織を検討しており、遅くとも原腸形成期には転写産物が現れることを示した。 その一方で、AcGbx遺伝子の転写調節を検討する目的でゲノム遺伝子のクローニングを行っており、やはり少なくともhomeobox領域を含む15kbのゲノムクローンを得ている。これも現在構造解析を進めており、さらにcDNAの全配列と比較することにより、AcGbx遺伝子の全構造が明らかになると期待される。今後、上流域DNAをレポーター遺伝子につないだ上でウニ胚に導入することにより、ポロモーターの解析を進める予定である。
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[Publications] Y. Fujita, Y. Hirate, T. Hiyama, K. Yamasu, T, Suyemitsu, & K. Ishihara: "Purification of EGIP-D-binding protein from the embryos of the sea urchin Anthocidaris crassispina." Zool. Sci.14. 931-934 (1997)
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[Publications] M. Sakuma, H. Onodera, T. Suyemitsu, & K. Yamasu: "The protein tyrosine kinases of the sea urchin Anthocidaris crassispina." Zool. Sci.14. 941-946 (1997)
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[Publications] M.Saito, M.Seki, S.Amemiya, K.Yamasu, T.Suyemitsu, & K.Ishihara: "Induction of metamorphosis in the sand dollar Peronella japonica by thyroid hormones." Develop. Growth Differ.(in press).