1997 Fiscal Year Annual Research Report
カドヘリンを介した細胞接着におけるβカテニンの役割
Project/Area Number |
09780681
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永渕 昭良 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80218023)
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Keywords | βカテニン / αカテニン / 細胞間接着 / 蛋白質分解 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
βカテニンはカドヘリンの制御、Wntシグナルの伝達という二種類の機能を果たしている。近年、形態形成を調節するシグナル伝達因子としてのβカテニンの機能解析が盛んになっている。しかし、βカテニンがカドヘリンを介した細胞接着を調節する機構についてはほとんど研究が進んでいない。本研究はカドヘリンを介した細胞接着におけるβカテニンの機能を明らかにすることを目的としている。特にカドヘリンを介した細胞間接着に「必要」な領域の同定を試みるのではなく、それを「制御」する領域の検索を試みる。本年度はこのような解析を進めるために必要な変異型βカテニン分子の作成を試みた。 まず、αカテニンの機能解析において有効であった、カドヘリンとの融合タンパク質の作成および機能解析を試みた。βカテニンは通常L細胞内では積極的に分解されるため、細胞内での分解を受けない変異型βカテニンを作成した。この安定型βカテニンを分子とカテニン結合領域を欠損したEカドヘリンとの融合タンパク質を作成し、L細胞に発現させた。発現した融合タンパク質は細胞表面に分布したが、何らかの細胞骨格系と強固に相互作用してしまうことが分かった。またβカテニン結合タンパク質であるαカテニンとの結合も見られなかった。結果として、融合タンパク質を発現した細胞は接着能を回復できなかった。今後、不溶化の原因およびαカテニンと結合出来ない原因を解明していく必要がある。 一方、融合タンパク質とは異なった発想でさまざまな変異分子を作成し、βカテニンの機能解析系を確立することも試みた。しかし5種類以上の変異型タンパク質を作成したが、どれも接着分子としては機能できなかった。これはβカテニンの機能には分子の微妙な高次構造が必要であることを示唆していると考えられる。
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[Publications] Sako,Y., A.Nagafuchi, S.Tsukita,M., Takeichi, and A.Kusumi.: "Cytoplasmic regulation of the movement of E-Cadherin on the free cell surface as studied by optical tweezers and single particle tracking corralling and tethering by the membrane skeletone." J.Cell.Biol.140. 1227-1240 (1998)
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[Publications] Fujimoto,K., A.Nagafuchi, S.Tsukita, A.Kuraoka, A.Ohokuma, and Y.Shibata.: "Dynamics of connexins,E-cadherin and alpha-catenin on cell membranes during gap junction formation." J.Cell Sci.110. 311-322 (1997)
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[Publications] Itoh,M., A.Nagafuchi, S.Moroi, and S.Tsukita.: "Involvement of ZO-1 in Cadherin-based cell adhesion through its direct binding to alpha catenin and actin filaments." J.Cell Biol.138. 181-192 (1997)
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[Publications] Richmond,P.J., A.J.Karayiannakis, A.Nagafuchi, A.V.Kaisary, and M.Pignatelli.: "Aberrant E-cadherin and alpha-catenin expression in prostate cancer:correlation with patient survival." Cancer Res.57. 3189-3193 (1997)