1998 Fiscal Year Annual Research Report
Cre-loxシステムを応用した遺伝子トラップによる発生関連遺伝子の単離と解析
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09780686
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 喜美 熊本大学, 医学部, 助手 (90211705)
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Keywords | ES細胞 / 遺伝子トラップ / Cre / loxシステム |
Research Abstract |
トラップベクター(pU-Hachi)を用いて現在まで109クローンを単離し、サザンブロットでトラップベクターの挿入パターンを調べたところ、約7割が1コピーのみの挿入であり、現在用いているエレクトロポレーションの条件がよいことが確認できた。この1コピーのみ挿入のクローンについて、未分化及び胚様体でのβ-geo遺伝子の発現を調べ、パターンにより分類を行った。その結果、まず、ほぼ全てのクローンでいずれかの時期に染色がみられ、このベクターでのトラップ効率は大変良いことが分かった。また、約5割のクローンは分化後に発現の上昇を示した。いくつかのクローンについては、ベクター挿入部位周辺のgenomicDNAの回収にも成功している。トラップベクター挿入時にプラスミドレスキューに用いるpUC部分が脱落してしまうクローンが4割以上も存在していた。そこで、これらのクローンに、新たなプラスミドをCre/lox部位特異的導入法を用いて導入した。この場合は、loxPの後のポリAシグナルを利用する形での導入を行ったので、導入効率は大変良く、良い場合にはほぼ100%、最も悪いものでも2割の挿入効率であった。現在までに17ラインのpU-Hachiトラップクローン由来のマウスを得ている。他のトラップベクター由来のマウスラインも合わせると、23ラインになる。そのうち、ホモ/ヘテロのgenotypingが出来ているものは13ラインあるが、胎生致死の表現型を示すものはうち8ラインであった。各ラインで、胎児期及び成体でのβ-geo遺伝子の発現パターンを解析しているところであるが、胎生期では全身が、成体では脳と心臓(特に心房)が染色されるものが多いようである。今までで、トラップされた遺伝子が明らかになったものとしては、CBP、CyclinB2、spl.crk、dynamin.Suilなどがある。
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[Publications] Oike,Y.: "Truncated CBP protein leads to classial Rubinstein-Taybi syndrome phenotypes in mica : Inplication of a domtnant negative mechanism." Human Molecular Genetics. 18. 387-396 (1999)
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[Publications] Oike,Y.: "MIce homozygous for a truncated form of a CREB-biding protein(CBP) exhibit defects in hemato-poiesis and vasculo-angiogenesis" Blood. in press.
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[Publications] Simada,H.: "Comparison of cell fate in sandwiched aggregates and co-cultured aggregates during blastocyst formation by monitored GFP expression." Mol.Reprod.Dev. in press.
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[Publications] 荒木喜美: "ES細胞でのCre発現と組替え効率" 組織培養工学. 24. 567-570 (1998)
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[Publications] (財)東京都臨床医学総合研究所実験動物研究部門 編: "マウスラボマニュアル" シュプリンガー・フェアラーク東京, 339 (1998)