1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780691
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
船山 典子 北里大学, 理学部, 助手 (30276175)
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Keywords | 初期発生 / 側板 / 側板中胚葉 / 部域化 / BMP-4 |
Research Abstract |
申請者はすでに、トリ初期胚の側板内の二種類の中胚葉のうち、将来からだの内側をつくる「臓側中胚葉」を、将来からだの外側をつくる組織の中に異所的に移植すると、その移植片が、外側中胚葉である「壁側中胚葉」の性質を示すようになることを見出していた。この知見をもとに、1)、臓側中胚葉の部域化の発生運命が決定されるのはいつかを解析する目的で、様々な発生段階の胚より調整した臓側中胚葉の組織片を外胚葉と壁側中胚葉の間に移植した。移植片は常に新しく出来た体節4対の側方に位置する側板より調整すると、22体節期以前のトリ胚より調整した臓側中胚葉はその性質を壁側中胚葉様に変更出来るが、それ以上発生の進んだ胚より調整した臓側中胚葉は性質を変更出来ないことが示された。即ち、臓側中胚葉の部域化は22体節期ごろに決定していると考えられる。 2)、1)で見られた臓側中胚葉の壁側中胚葉化に、外胚葉、壁側中胚葉のいずれが作用しているのかをin vitro組織培養系を用いた組み合わせ培養により解析した。外胚葉で臓側中胚葉を包み、培養すると壁側中胚葉化したが、壁側中胚葉で包んだものはその性質を変更しなかった。即ち、外胚葉からのシグナルにより臓側中胚葉はその性質を壁側中胚葉に変更していることが示された。一方、壁側中胚葉を本来隣接している外胚葉よりはずして培養するとその性質を失うこと、これに対して壁側中胚葉を外胚葉で包み、培養するとその性質を維持することも見出された。つまり、側板中胚葉にはa)壁側中胚葉を誘導する。b)壁側中胚葉の性質を維持する、という二種類の働きがあることが明らかとなった。さらに、これら二種類の外胚葉の働きの作用分子を探索する第一歩として、側板外胚葉において発現しているシグナル分子、BMP-4をCOS細胞で発現させ、これと側板中胚葉とを組み合わせで培養した。外胚葉の二種類の作用のうち、壁側中胚葉の性質の維持の働きをBMP-4を発現しているCOS細胞により置き換えることが出来た。即ち、BMP-4により、壁側中胚葉の性質が維持されていることが示唆された。
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