1997 Fiscal Year Annual Research Report
網膜視蓋投射のトポグラフィックマップのリモデリング機序
Project/Area Number |
09780701
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
一條 裕之 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40272190)
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Keywords | 網膜視蓋投射 / 神経回路網形成 / トポグラフィックマップ / リモデリング / 神経発生 / 液性因子 / 忌避因子 / Eph ligand |
Research Abstract |
新しい共培養法を用いて網膜視蓋投射マップのリモデリング機構を調べた。これまでに網膜視蓋投射の発生の後期に後側視蓋細胞が耳側網膜軸索の撤退を誘導する蛋白質性の因子を培地中に分泌することが示されていた。今回の研究では撤退誘導因子が従来から網膜視蓋投射マップ形成に機能することが知られていたEph ligandのephrin-A2とephrin-A5(以下ephrinsと略)とは異なった、新しい因子であることが示唆された。実験結果は以下のとおりである。 (1)撤退誘導因子を含む条件付け培地の中にephrinsが含まれるかどうか調べるために、ephrinsに対する特異抗体を用いてWestern blottingを行なったが、検出限界以下であった。(2)ephrinsのreceptor-bindeng domainとalkaline phosphataseの融合蛋白質を作成し、レセプター結合能を持つ可溶性ephrinsを合成した。様々な濃度の可溶性ephrinsを含む培地の中で網膜を培養したが、ephrinsは撤退誘導因子の効果を代替しなかった。(3)撤退誘導因子が成長円錐に直接に作用するかどうか調べるために、成長円錐コラプスアッセイを行った。しかし耳側網膜軸索のコラプスを特異的に誘導することは確認されなかった。(4)撤退誘導因子を含む条件付け培地を濃縮し、二次元電気泳動を行い、含まれる蛋白質をコントロール条件付け培地と比較し、特異的なスポットの同定を試みた。蛋白質の検出には銀染色よりも高感度のSyproOrange染色を用いたが、有意なスポットは同定できなかった。これは因子が微量であるためと、検出感度が不十分であるためと考えられた。
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