1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780706
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 真 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (10222019)
|
Keywords | 橋 / 皮質橋路 / トポグラフィ / シナプス形成 / 濃度勾配 / 回路形成 / ラット / クローニング |
Research Abstract |
本研究では、神経解剖学・神経科学に残された大きな課題の一つである軸索によるシナプス形成機構を分子レベルで明らかにすることを目的としている。高等動物ではシナプス形成に際し、神経核同士がおおざっぱなトポグラフィーをもって結合し、その後にrefinementの過程を経て精密な回路が形成されることが知られている。この事実は、高等動物では個々の標的細胞の認識機構ではなく、対応する神経核のなかでのおおざっぱなトポグラフィー決定の仕組みが特異的シナプス形成に重要であることを示している。この、トポグラフィー決定のモデルとして従来、網膜から視蓋(上丘)への投射が良く研究されてきた。しかしながら、網膜はいわば特殊化した部位であり、いわゆる中枢神経系中でのトポグラフィー決定機構の解明は殆どその例が報告されていないのが現状である。 以上を鑑み、本研究では大脳皮質から錐体路を経て橋に伸びる皮質橋路を例とし(皮質橋路では大脳皮質と橋核との間にトポグラフィカルな結合があり、大脳皮質前頭葉よりから橋核外側部に、視覚野よりから橋核内側部に投射する)、このような形成機能をもたらす分子を検索し、その機能を明らかとすることで、中枢神経系でのシナプス形成に際してのトポグラフィー決定機構を解明しようとするものである。 現在までに、私たちはディフェレンシャル・ディスプレイ法を応用し、回路形成期の橋に発現する分子を検索し、橋核外側部に弱く、内側部に強く発現する分子断片を同定している。本年度は、その遺伝子断片をもとにライブラリースクリーニングを行い、そのcDNAの全長を取得した。なお、そのcDNAの構造をもとにそのコードする分子の機能を推測することを試みたが、得られた分子は新規のものであり、その機能はその一次構造からは現在の所、明らかとなっていない。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Tanaka,T.: "Mclecular cloning and characterization of a novel TBP-1 interacting protein(TBPIP):Enhanciment of TBP-1 action on Tat by TBPIP" Biochem Bicphys.Res.Commun.239. 176-181 (1997)
-
[Publications] Komori,T.: "Targeted disruption of cbfa 1 results in a complete Lack of bone formation owing to maturation arrest of cstecblasts." Cell. 89. 755-764 (1997)
-
[Publications] Nagano,T.: "Differentially expressed clfactomedin-related glyccproteins(Pancortins)in the brain." Mol.Brain Res.(in press).
-
[Publications] Nakamura,T.: "Distribution of mRNA enceding Tat binding protein-1(TBP-1),a cemponent of 26S proteasome,in the rat brain." Mol Brain Res. (in press).
-
[Publications] Takami,T.: "Modification of mRNA differential display:identification of mRNAs which are differentially ekpressed in the basilar pons during the formation of the corticopentine projection." Osaka City Medical Journal. (in press).