1997 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞特異的電位依存性ナトリウムチャンネルの遺伝子ターゲッティング
Project/Area Number |
09780712
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
渡辺 英治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (30250252)
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Keywords | ノックアウトマウス / グリア / ナトリウムチャンネル / 肺 / シュワン細胞 / ニューラルクレスト |
Research Abstract |
グリア細胞は従来、神経細胞の活動を支持、修飾するという補助細胞であるとされ、情報伝播を担う活動電位を生じることはない。ところが、近年アストロサイト、シュワン細胞といったグリア細胞においても電位依存性ナトリウムチャンネルが発現し、実際に機能していることが確認された。本実験の目的は、グリア細胞に発現している電位依存性ナトリウムチャンネル(NaG)が欠損したマウスを作製することにより、その生理機能を探り出すことにある。本年度はその遺伝子欠損マウスの作製、及び遺伝子発現分布解析を中心に研究を行った。遺伝子欠損型ターゲッティングベクターは、NaG遺伝子の開始コドンを含む第1エクソンにネオマイシン耐性遺伝子を挿入する形で、その構築をおこなった。また、NaG遺伝子の発現パターンを解析する目的で、1acZ遺伝子をリポーターとして導入した遺伝子ターゲッティングベクターの構築も同時におこなった。いずれのターゲッティングベクターと相同組み換えを起こしたES細胞からも高率キメラマウスを得て、これらマウスと野生型マウスとの交配からF1ヘテロマウスを樹立した。これらヘテロマウスのうち、1acZ遺伝子導入マウスによってNaG遺伝子の発現分布を検討した。その結果、胎生期においては、背根神経節及び肺に発現が見られた。生後直後まではほぼ同様の染色像が続くが、成熟するに従い、抹消神経系の神経束及び一部の中枢神経神経核にも染色の上昇が観察された。また心臓、腸、膀胱などの各種臓器の感覚神経束でも発現が見られるようになり、これは成熟に従って出現したグリア細胞が主因であると考えられる。次年度にはさらに詳しい発現分布解析を行うと共に、これらヘテロマウス同士の交配によって遺伝子が完全に欠損したホモマウスを得て、その生理機能解析に着手していく。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Matsui,F.et al.: "Occurence of an N-terminal proteolytic fragment of neurocan,not a C-terminal half,in a perineuronal net in the adult rat cerebrum." Brain Research. (in press). (1998)