1997 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア頭部再生に注目した神経回路網形成機構の解明
Project/Area Number |
09780716
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐伯 俊彦 群馬大学, 工学部・生物化学工学科, 助手 (00241860)
|
Keywords | アセチルコリンエステラーゼ / プラナリア / 再生 / 神経系の再生 / 神経ネットワークの再生 |
Research Abstract |
神経再生の時間経過をモニターするために、神経細胞特異的酵素であるアセチルコリンエステラーゼの活性測定の系を立ち上げた。実験条件を検討した結果、プラナリア1匹で活性を測定することができた。更にプラナリアを頭部、胴部、咽頭部、尾部、にわけ、それぞれ1断片ずつの活性を測定することにも成功した。その結果、プラナリアの頭部と尾部で活性が高く、胴部と咽頭部では活性が低い傾向が見られた。頭部での高活性は脳においてシナプス結合が多いことを反映していると考えられる。一方尾部での高活性は予測していなかった結果である。プラナリアは尾部に吸盤構造を持っていて、ものにしっかり張り付いたり、危険を感じてすばやく後退するときなどの足がかりとしている。プラナリアを切断した際の尾部断片はこの吸盤を使って後方にすばやい尺取虫運動をする。このことと測定結果をあわせて考えると、吸盤及び尺取虫運動が神経系によって制御されている可能性が考えられる。 次に、プラナリアの頭部を切断後時間を追って、再生部位でのアセチルコリンエステラーゼ活性測定を試みた。今年度の測定ではプラナリア頭部が再生して再生芽が大きくなるに従って活性が高まるだけのような結果しか得られなかった。データにはばらつきも多く、これは切断後にできる再生芽の大きさや、測定する断片の大きさがまちまちなことによると思われる。また他の種で知られているようにプラナリアでも数種類の異なる構造を持った分子として存在している可能性がある。そこで次年度はこれらのサブタイプを区別する方法を模索すると共に、活性測定条件を更によく検討し再現性の高い測定を行う予定である。 今年度は時期特異的に発現する遺伝子の探索は行わなかった。次年度での検討課題としている。
|
Research Products
(1 results)