1998 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア頭部再生に注目した神経回路網形成機構の解明
Project/Area Number |
09780716
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐伯 俊彦 群馬大学, 工学部, 助手 (00241860)
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Keywords | アセチルコリンエステラーゼ / プラナリア / 再生 / 神経系の再生 / 神経ネットワークの再生 / ビジリン |
Research Abstract |
脊椎動物では、アセチルコリンエステラーゼは単量体の遊離型、膜結合型の2量体、4量体、コラーゲン様の構造を持った12量体(非対称型)などが存在することが知られている。プラナリアからのアセチルコリンエステラーゼ活性の抽出条件を検討した結果、少なくとも遊離型と膜結合型の分子が存在することが明らかになった。次に活性に対する塩の影響を調べたところ、0.1M塩化ナトリウム存在下で活性が最も高く、かつ鋭いピークとなることがわかった。しかし塩化カリウム、塩化リチウムではこのような活性ピークは見られなかった。このことはアセチルコリンエステラーゼは細胞の外で働く酵素であることをよく示している。また淡水で生育しているプラナリアにおいても、体内の塩濃度は塩化ナトリウムによって哺乳類並みの濃度に保たれていることが示唆された。 プラナリア頭部切断直後に発現量の高まる遺伝子の検索を行うために、まずアセチルコリンエステラーゼ遺伝子断片をPCR法で増幅しようと試みた。その過程で得られた副産物の中にトリのビジリンと相同性のある配列を持ったものが得られた。この遺伝子断片をプローブとして断頭後のプラナリアでノーザンブロット解析を行ったところ、切断しないプラナリアでは検出されず、切断直後から1時間後だけに一過性の発現量の増加が見られ、3時間後には再び検出できなくなった。このように切断後のごく短い限られた時間内で発現する遺伝子が見つかったのは、これが始めてである。 今後はビジリンの機能と発現調節機構について詳細に検討し、断頭後、再生へと向かう情報伝達機構を明らかにしてゆく予定である。
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