1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780717
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 謙介 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (50218567)
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Keywords | シナプス / 樹状突起スパイン / GFP |
Research Abstract |
シナプスの後部、スパインは非常にアクチン繊維に富む構造で、常時形態変化をしていることが知られている。スパインの形成、形態変化にはスパインに局在するアクチン結合蛋白が重要な役割をしているに違いない。私はスパインのアクチン結合蛋白、ドレブリンに注目して研究を行った。 (1) まず、ドレブリンのアクチン結合部位について知るために、CHO細胞に発現させたGFP-ドレブリンについて詳細な観察を行った。いろいろなドレブリン断片をGFPとつなげて発現させたところ、アクチン繊維の変成を起こす断片は、必ずアクチン繊維との結合を示した。つまり、アクチン繊維の変成を起こすためにはアクチン繊維との強い結合が必要であることがわかった。重なっていない断片の両方でアクチン結合とアクチン繊維変性が見られた。従って、ドレブリンのアクチン結合部位には、弱いアクチン結合サイトが複数、クラスター状に分布していると考えられる。アミノ酸残基233-317が、アクチン繊維への結合とアクチン繊維の変性を起こすのに十分であった。全長cDNAで見られるような、あらゆる変性(アクチンの詰まった細い突起の伸長、アクチン繊維の屈曲、輪状化)が見られた。つまり、この部分がドレブリンのアクチンへの作用に必要十分であることが分かった。 (2) GFP-ドレブリンを初代培養神経細胞に入れると、スパインに局在し、スパインが長くなることは昨年度に報告した。今回は、アクチン結合部位を欠損させたドレブリンを作成し、GFPとつなげて神経細胞に導入した。GFPによる蛍光はスパインにも弱く見られたが、樹状突起により強く認められた。 従って、ドレブリンがスパインに局在するためにはアクチン結合部位が必要であることがわかった。また、GFP-ドレブリンを発現して長くなったスパインが本当にシナプス後部なのかどうかを、シナプトフィジンの抗体で確認した。
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[Publications] 任,平井,節,林,白尾: "ドレブリン遺伝子発現による繊維芽細胞突起形成に関する研究" 北関東医学. 48. 343-350 (1998)
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[Publications] 林,鈴木,白尾: "Rapid conversion of drebrin isoformsduring synapse formation in primary cultured neuron" Developmental Brain Research. 111. 137-141 (1998)
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[Publications] 林,白尾: "Shape change of dendritic spines caused by overespression of drebrin" Journal of Neuroscience. (印刷中). (1999)
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[Publications] 林 謙介: "樹状突起スパインの形態変化とアクチン結合蛋白,生化学" 日本生化学会(印刷中), (1999)
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[Publications] 林,白尾: "Visualization of deudritic spine formation with GFP-fusion proteins in Neural Development" Springer-Verlag, 544 (1999)