1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しい神経終末膜標本fusasomeを用いたシナプス前受容体の電気生理学的検討
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09780724
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
望月 貴年 愛媛大学, 医学部, 助手 (40263933)
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Keywords | synaptosome / fusasome / グルタミン酸 / グルタミン酸脱水素酵素 |
Research Abstract |
本年度はラット大脳皮質よりsynaptosomeを調製し,この神経化学的特性を調べ,fusasomeを調製する予備段階の検討を重点的に行った。すなわち調製した膜標品に伝達物質であるグルタミン酸が含まれていること,脱分極刺激に反応してグルタミン酸が遊離することを調べた。グルタミン酸の検出には,グルタミン酸脱水素酵素の反応に付随して起こるβ-NADP^+の還元量を蛍光測定する手法を用いた。 まず,大脳皮質ホモジネートよりpercoll密度勾配遠心分離法でsynaptosome分画を調製し,この浮遊液を蛍光光度計内のキュベットに移し、グルタミン酸脱酸素酵素とβ-NADP^+を加え、外液中に生じるNADPH量を342nm励起による456nmの蛍光光度で連続的に測定した。そして外液にKC1水溶液(最終濃度30mM)を加え、脱分極性刺激を与えると,添加後2分以内に2-3nmolのグルタミン酸遊離増加が見られた。引き続いてTriton X-100(0.1%)を加えキュベット内の総グルタミン酸量を調べると,およそ12-13nmolであることが分かった。よって,KC1刺激によりsynaptosome内グルタミン酸の15-20%が遊離することが分かった。しかしながら,この遊離は外液Ca^<2+>に対する依存性に乏しく,また時間経過とともに顕著に減少することも分かった。さらに,KC1の代わりにBAY-K 8644(30,300nM)や4-aminopyridine(1mM)で刺激しても,グルタミン酸遊離の有意な増加は見られなかった。よって、調製したsynaptosomeは,グルタミン酸を含むシナプス小胞は有しているものの,脱分極刺激に反応する活性が低いか,速やかに消失するため,このような刺激による遊離変化の検討には現条件では困難であることが分かった。なお,本研究の目的であるヒスタミンH_<3->受容体のアゴニスト,(R)-α-めちるヒスタミン(1,100μM)を添加し,KCl刺激によるグルタミン酸遊離増加の対する影響を調べたが,有意な遊離抑制作用はみられなかった。 来年度は,synaptosmeの調製条件の見直しとともに,fusasome電気生理学的特性の検討に着目する。
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[Publications] Guo Y.: "Role of mast cell histamine in the formation of rat paw edema;a microdilysis study." Eur.J.Pharmacol.331. 237-243 (1997)
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[Publications] 望月 貴年: "生態アミンと睡眠-覚醒サイクル" 日本臨牀. 56・2. 20-25 (1998)