1998 Fiscal Year Annual Research Report
新生仔ラットの脳内エストロゲン受容体アイソフォームの生理機能の解析
Project/Area Number |
09780746
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 千登世 (折笠 千登世) 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
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Keywords | エストロゲン受容体(ER) / 性ステロイドホルモン / 変異型(アイソフォーム) / 脳 / 遺伝子発現 / 生殖 / 雌雄差(性差) |
Research Abstract |
本研究では、性ステロイドホルモンの受容体である、エストロゲン受容体のサブタイプの生理機能の解析を目的としている。当該研究者は、これまで、生殖機能に重要な役割を果たす視床下部領域と視束前野領域で、エストロゲン受容体(ER)発現に性差が存在し、雄でのER免疫染色性が雌に比べて有意に低下していることを見出した。さらに、ERの遺伝子発現とタンパクの発現とは、脳内領域によっては必ずしも並行していない事実を見出した。これらタンパクと遺伝子発現の不平行化現象は、特定の脳領域での変異型遺伝子の発現にあるものと考え解析を進めてきた。脳の視床下部領域で最も高い発現を持つ変異型ERはΔ4であることが明らかとなったが、RNase protection assayによる解析の結果、雌雄間および脳の領域間でのΔ4の発現に差はなく、不平行化現象に関与する変異型遺伝子ではないことが示唆された。一方、近年ラットの前立腺から新しいタイプのエストロゲン受容体がクローニングされ、これまで知られ当該研究者が解析をすすめてきたエストロゲン受容体をα(ERα)とよび新規のエストロゲン受容体をβ(ERβ)とよぶようになった。ERのサブタイプであるERβの生体内での生理機能をあきらかにする目的で、脳内での分布状況を検討した。その結果、ERαとERβの出現が重複する領域として、視索前野脳室周囲核、視索前野内側核、分界条床核、内側扁桃体、腹内側核であることを見いだした。また、ERβの発現様式は、視索前野脳室周囲核、模索前野内側核、腹内側核において雌雄差があることが判明した(論文作成中)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 折笠千登世・林しん治: "神経内分泌の観点からみたエストロゲン受容体研究の課題" ヒューマンサイエンス. 10. 48-56 (1998)
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[Publications] Patchev,V.K., Hayashi,S., Orikasa,C., and Almeida,O.X.F: "Gender specific responsiveness to stress and glucocorticoids is determined by the prinatal steroid environment and ‘reinforced' by gonadal secretion." Stress. in press.
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[Publications] Weiland,N.G, Orikasa,C., Hayashi,S. and McEwen,B.S.: "Distribution and hormone regulation of estrogen receptor immunoreactive cells in the hippocampus of male and female rats." J.Comp.Neurol.,. 388. 603-612 (1997)
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[Publications] Hayashi,S., Yokosuka,M. and Orikasa,C.: "Developmental aspects of estrogen receptors in the rat brain(In Maeda,K. and Tsukamura,H. (eds.) Neural Control of Reproduction : Physiology and Behavior," Physiology and Behavior, Japan Scientific Societies Press, Tokyo. 135-152 (1997)