1997 Fiscal Year Annual Research Report
小脳シナプス可塑性におけるプルキノエ細胞樹状突起スパインのCa^<2+>ストアの役割
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09780757
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮田 麻理子 理化学研究所, 細胞神経生理研究チーム, 基礎科学特別研究員 (70281631)
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Keywords | cerebellum / intracellular calcium store / dilute opisthotonus rat / spine / Purkinje Cell / smooth endoplasmic reticulum / Long-term depression |
Research Abstract |
小脳Purkinje細胞には、登上線維と平行線維からの2種類の興奮性入力が存在するが、これらを同時に刺激すると平行線維シナプスに選択的に伝達効率の長期抑圧(LTD)が起こることが知られ、この可塑的現象は、行動学的研究や最近のノックアウトを用いた研究により、運動学習の基礎過程であることが強く示唆されている。現在までにLTD発現の必須因子の一つとして、IP3およびryandodineによる、プルキンエ細胞滑面小胞体に存在する細胞内Ca^<22+>ストアからのカルシウム放出の関与が培養プルキンエ細胞の実験で報告されている。本研究は、dilute-opisthotonus (DOP)ラットに着目しプルキンエ細胞の樹状突起スパイン直下の細胞内Ca^<2+>ストアのLTDに対する役割を明らかにした。DOPラットは、自然発生mutantで、小脳Purkinje細胞の樹状突起スパインでの滑面小胞体のみが欠損していることが報告されている。私達は、dop ratにおいて小脳の長期抑圧(LTD)が欠如していることを見出した。平行線維および登上線維シナプス伝達は正常であり、電位依存性Ca^<2+>チャンネルも正常であった。さらに抗体免疫染色ではプルキンエ細胞樹状突起スパインのみのIP3受容体が存在しなかったが、代謝型グルタミン酸受容体、PKCrの分布は正常であった。この結果より、LTD誘発にはプルキンエ細胞樹状突起スパイン内でのCa^<2+>動員が必要であることが示唆された。
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[Publications] Mariko Miyata et al.: "DEFICIENT CEREBELLAR LONG-TERM DEPRESION IN THE ATAXIC MUTANT RAT LACKING SMOOTH ENDOPLASMIC RETICULUM IN PURKINJE CELL DENDRITIC" NEUROSCIENCE RESEARCH. 21. 62-62 (1997)
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[Publications] 宮田麻理子、狩野方伸: "Clinical Neuroscience" 中外医学社, 1093-1095 (1997)