1998 Fiscal Year Annual Research Report
小脳シナプス可塑性におけるプルキンエ細胞樹状突起スパインのCa^<2+>
Project/Area Number |
09780757
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
宮田 麻理子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70281631)
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Keywords | 小脳 / Purkinje細胞 / LTD / IP_3 / mutant / 長期抑圧 |
Research Abstract |
小脳Purkinje細胞には、登上線維と平行線維からの2種類の興奮性入力が存在するが、これらを同時に刺激すると平行線維シナプスに選択的に伝達効率の長期抑圧(LTD)が起こることが知られ、この可塑的現象は、行動学的研究や最近のノックアウトを用いた研究により、運動学習の基礎過程であることが強く示唆されている。現在までにLTD発現の必須因子の一つとして電位依存性カルシウムチャンネルを介したカルシウム注入が明らかになっているが、これとは別に、IP3およびrynodineによる、プルキンエ細胞滑面小胞体に存在する細胞内カルシウムストアーからのカルシウム放出の関与が培養プルキンエ細胞の実験で報告されている。しかし、これら各々の細胞内カルシウムの上昇がどのような時空間動態をもって各々の細胞内情報として働いているかは、不明である。特に、代謝型グルタミン酸受容体の活性化がLTDの発現に必須であることとが近年報告され、その後に駆動されるであろうIP3を介したスパインでの滑面小胞体カルシウムストアーからのカルシウム放出は、可塑性の入力特異性を規定する上で重要な役割を担っていることが推定される。本研究は、dilute lethal(d^l)mouseを用いることで小脳LTDにおけるPurkinje細胞のスパインでの滑面小胞体の細胞内カルシウムストアーの役割を明らかにすることであった。。初年度は、dilute lethal(d^l)mouseの脳切片標本によるホールセルクランプ法を用いて平行線維、登上線維-Purkinje細胞のシナプス特性に変化が生じるかどうか解析した。2年目は、LTDの発現の有無を調べ、その発現様式を多面的に解析した。LTDは完全に誘導が阻害された。よって、スパイン内のカルシウムストアーがLTD誘導に必須であることがわかった。一方、平行線維シナプスの特性である、:paed pulse facilitation(PPF)は正常であり。一方、登上線維シナプスの特性であるpared pulse depression(PPD)に関しては現在研究中である。また、現在、スパイン内でのカルシウムimagingを現在試みている。学会発表は、97年日本神経科学学会、97年度北米神経科学会に発表した。
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[Publications] Masao Ito & Mariko Miyata: "Regulatory peptides and their Cognate Receptors" Sringer Verlag, in press (1999)
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[Publications] 宮田麻理子: "エンサイクロペディア 電子情報通信ハンドブック" オーム社, p69 (1998)