1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻本 哲宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40212055)
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Keywords | Ca^<2+>電流 / ホールセル・パッチ / シナプス終末 / G蛋白 |
Research Abstract |
生後9-17日齢の延髄をハロセン麻酔下で摘出し、厚さ150μMスライス標本を作製した。台形体内側核ニューロンを微分干渉型顕微鏡とCCDカメラで同定し、細胞体表面に形成されている巨大シナプス(the Calyx of Held)にホールセルパッチ法にて前シナプスCa^<2+>電流(IpCa)を記録した。電位依存性Na^+電流、K^+電流は細胞外液にTTX1μM、TEA10mM添加することで抑制した。脱分極パルス(-10mV;1ms)を200ms以下の間隔で2回与え、IpCaテ-ル電流を誘発した。2発目のIpCaは20%の増加(間隔10ms)が認められ、間隔を延長するに従って減少し100msで消失した。2発目の脱分極時間をを10msにしてIpCaの活性特性を検討した。1発目の脱分極がない場合に比べ、IpCaの活性化過程の促進が認められるが、10msでのIpCaの大きさには変化が認められなかった。このときIpCaの電位依存性には変化がなかった。前シナプス内にCTP日-γS或いはGDP-βSを添加してもIpCaの促進には影響がなかった。蛋白質燐酸化酵素、脱燐酸化酵素阻害であるH7、KN-62、Calyculin-A、Deltamethrinを添加しても抑制できなかった。しかし、細胞外のCa^<2+>濃度を0.1mMから2mMまで変化させると、IpCa促進は細胞外Ca^<2+>濃度に正比例して増加した。細胞外のCa^<2+>をBa^<2+>に置換した場合、前シナプス内に16mM BAPTAを導入した場合にはIpCaの促進が抑制された。Na^+をチャージキャリアーにするとIpCaの促進は消失した。細胞外液を低Ca^<2+>潅流下に前シナプス終末と後シナプス細胞からの同時ホールセル記録を行うと、IpCaの促進に伴って後シナプス電流(EPSC)の促進が認められた。結論:IpCaの促進は短い間隔で顕著であり数十ms持続する。IpCaの促進はCa^<2+>電流の活性化時間の加速による。IpCaの促進はCa^<2+>に依存するが、G蛋白、細胞内蛋白燐酸化酵素、脱輪酸化酵素は関与しない。
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