1997 Fiscal Year Annual Research Report
頚筋深部知覚入力による緊張性頚反射の神経回路の同定
Project/Area Number |
09780765
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉内 友理子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30251523)
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Keywords | 緊張性頚反射 / Group I線維 |
Research Abstract |
本研究は、頚筋筋紡錘からの深部知覚入力が、緊張性頚反射による姿勢調節に重要な役割を果たしていることを明らかにすることを目的とした実験を行った。 実験には除脳ネコを用い、頭部の回転により,緊張性頚反射を誘発しておき,各頚筋の末梢神経を次々に切断し,その効果を観察した。これにより緊張性頚反射が,関節入力ではなく,筋紡錘入力によって起こることが明らかとなった。次に各頚筋の末梢神経の電気刺激の強度を変え、Group Iの筋紡錘神経を選択的に刺激し、その効果を調べた。同様に緊張性頚反射に対する頚筋末梢神経の刺激効果を上肢の屈筋と伸筋の神経幹から記録して解析した。これまで緊張性頚反射をおこす動物モデル作成に成功した報告がないのは、頚部の解剖学的知見の欠如によるものと考えられる。頚部の筋自体も小さく、頚部の深部知覚に関与する頚筋の支配神経は非常に細く、さらにその解剖学的走行もきわめて複雑で、従来はほとんど知られていなかった。そのため、これまでの頚部の深部知覚神経の電気刺激実験のほとんど全てが、脊髄神経の後枝を、椎間孔から出てきた部位で全体をまとめて刺激していた。異なった作用を持つ頚部の求心神経を一括して電気刺激してしまうと、それぞれの効果がキャンセルし合い、全体としてみると、効果が無いように見えてしまう。我々はネコの頚部におけるさまざまな筋の支配神経の走行を詳細に解析し、それらを筋ごとに分離する技術を習得し、これを個別に電気刺激する方法を開発した(Sugiuchi et al.,1995)。そこで、この方法を活用し、除脳ネコにおいて異なる筋の深部知覚神経を刺激し分け、どの筋からの求心神経を刺激するとどのような効果が引き起こされるかを、四肢の屈筋・伸筋の筋電図活動により解析中である。さらに筋紡錘からのIa群線維の脊髄内での走行と終止部位をWGA-HRPの順行性標識を行って明らかにした。
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[Publications] Shinoda Y., Izawa Y. Sugiuchi Y., and Futami T.: "Functional signifi cance of cxcitatory projections from the precerebellar nuclei to interpositus and dentate nucleus neurons for mediating motor,premotor and parietal cortical inputs." Progress in Brain Research. 114. 193-207 (1997)
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[Publications] Shinoda Y., Sugiuchi Y., Futami T., Ando N., and Yagi J.: "Input patterns and pathways from the six semicircular canals to motoneurons of neck wuscles. II. the long issimus and semispinalis muscle gronps." Journal of Neurophysiology. 77. 1234-1248 (1997)
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[Publications] Izawa Y., Sugiuchi Y., and Shinoda Y.: "Interneurons mediating signals from the superior colliculus to horizontal ocular wotoneurons." Neuroscience Research. Suppl20. S171- (1997)