1997 Fiscal Year Annual Research Report
サル海馬体のニューロン集団による記憶事象の表現様式
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09780767
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田村 了以 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60227296)
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Keywords | サル / 海馬体 / 学習 / 記憶 / 単一ニューロン活動 / アンサンブルコーディング / 行動 / 同期発火特性 |
Research Abstract |
柔軟な学習・記憶を必要とする行動課題遂行中のサル海馬体から複数の単一ニューロン活動を同時記録し、これらニューロン活動の学習・記憶にともなう変化を明らかにするため、本年度は、1.今まで開発してきた複数の単一ニューロン活動の同時記録法を、行動中のサルに応用するための実験システムの開発、2.サルの行動課題訓練、および、3.サル海馬体からの複数単一ニューロン活動の同時記録を計画し、以下の研究成果を得た。 1.実験システム開発。(1)行動中のサルからニューロン活動を記録するための特殊アイソレーションアンプを開発・使用することにより、記録系と行動課題制御系を完全に電気的に分離でき、行動課題制御系に起因する電気的雑音を大幅に除去して精度の高いニューロン活動記録を行うことが可能となった。(2)下記2で述べる条件性連合課題を制御のため、専用ハードウエア(眼位モニタリングシステムと液晶ディスプレー)を現有するシステムに加え、さらに、行動課題制御用プログラムを作成した。 2.行動課題の訓練。サルに次の条件性連合課題を訓練した。まず、一対の刺激(仮にAおよびBと名づける)を用意し、サルが眼前の液晶ディスプレー中央の注視点を見ていると、注視点上にAまたはBが提示される。サルは、AまたはBの提示に対して、それぞれ、右または左に眼球を動かすと報酬としてジュースを獲得できる。毎日、同じ一対の刺激と新たな異なる一対の刺激を用いて、正答率が90%以上に達するまでこの行動課題を訓練した。 3.ニューロン活動記録。海馬体に多極電極を慢性的に植え込んだサルの頭部を脳定位固定装置に固定し、上記の条件性連合課題を行わせ、複数の単一ニューロン活動を同時記録した。 ニューロン活動記録実験は平成10年度も継続して行い、全記録終了後にoff-1ine解析によりニューロンの応答様式やニューロン間の機能的結合度などの解析を詳細に行う予定である。
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