1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780772
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大木 紫 杏林大学, 医学部, 講師 (40223755)
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Keywords | ヒト / 手指運動 / 皮膚感覚 / 相互相関 / 予期 |
Research Abstract |
ヒトは扱う道具により握りの形態を変え、時に4本の指を1つの機能単位(a virtual finger)として円筒形の物体を握り、または1本の指でタイプを打つ。本研究の目的は様々な状況で変化する機能単位に応じて、脳が指の運動をコントロールする様式も変化するかを調べることである。正常被験者(n=7)に2枚の水平なplateを2本の指で保持してもらう。Plateは時々モーターで指から逃げる方向に加重され、1回の加重はpre-load、dynamic(0.5s間ramp状に3Nまで増加)、static(2s間3Nで加重)phaseからなる。Plate毎に指がplateを押す力等を計測した。1回のtest series中、左又は右のplateのみ、両方同時という3種類の加重パターンがrandomな順序で出現する。但し第1のseriesでは同時加重、その他のseriesではどちらかへの加重が高頻度である。同時加重に対する2本の指の運動に対しcross-correlation解析を行った。右手の示指と中指を用いた場合seriesによらず、pre-load(r=0.23)とstatic phase(r=0.21)中に弱い正の相関が見られた。同時加重を予測している場合はdynamic phase中もこの相関は変化しなかった(r=0.28)が、その他の場合は相関が低下した(r=0.09))。左右の示指を用いた場合、相関は一般に片手の場合より悪い(r=0.13:pre-load phase)。しかし同時加重を予測している場合(r=0.36)、それ以外の場合(r=0.22)に比べdynamic phase中の両指の運動が同期する傾向が見られた。片手、両手共2本の指の運動は必ずしも独立してコントロールされず、被験者の予期で変化する相互作用が存在した。片手と両手の指間では、異なる機構が関与する可能性が示唆された。
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