1997 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭摘出者のための発声代行装置とその実現のための音声知覚処理機構の研究
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09780785
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上見 憲弘 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70280857)
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Keywords | 発声補助 / 人工喉頭 / 音声 / 補綴 / ピッチ周波数 / 自然性 |
Research Abstract |
本研究は,喉頭摘出者が簡便に扱え,しかも自然な声を表出できる発声代行装置の開発を目指している. 本年度は主に,我々が今まで開発してきた発声代行装置である呼気圧制御型人工喉頭をもちいて,(1)このようなイントネーションを制御する人工喉頭の適用範囲,(2)イントネーションの変化範囲と声の自然さの関係,の2点について検討した. 研究によって得られた成果について以下に示す. 1.イントネーション制御型人工喉頭がどれだけの人が使うことができるかを調べるため,本人工喉頭の制御に慣れた被験者1名と初めて使う被検者6名でイントネーションをつけて話すことができるかを調べた.また,各被検者の呼気の制御能力についても簡単に調べた.その結果,6名中4名は初めてでもイントネーションをつけることがきること,また,被検者によっては本人工喉頭のパラメータをその被検者用に調整する必要があることがわかった.つまり,本制御方法は有効であることとこのような制御には個人差の検討が不可欠であることがわかった. 2.イントネーション制御型人工喉頭を用いて発声した声/aoi-umi/のイントネーションの変化範囲を分析合成により変化させた.そして,どれくらいの変化までその声の自然さが保存されるかを聴取実験により評価した.その結果,被検者が適したイントネーションの変化パターンを生成できていれば,変化範囲を2倍程度変化させても声の自然さを保つことができることがわかった. 問題点としては,被検者数がまだ少なく,個人差の検討がまだ不十分であることが挙げられる.イントネーションの制御手法や処理機構,自然な声の要因については次年度に詳しく検討する予定である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 上見憲弘: "ピッチ周波数制御型人工喉頭の適用範囲の検討" 電子情報通信学会技術報告. HCS97-16. 65-70 (1997)
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[Publications] 上見憲弘: "抑揚を出せる人工喉頭の実用化研究をめぐって" 電子科学研究. 5. 101-102 (1997)
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[Publications] 伊福部達: "自然な声を表出できる人工喉頭の研究とその展開" 電子科学研究. 5. 23-29 (1997)
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[Publications] 橋場参生: "イントネーションを制御できる電気式人工喉頭の実用化と評価" 日本音響学会平成9年度秋季研究発表会講演論文集. 333-334 (1997)