1998 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭摘出者のための発声代行装置とその実現のための音声知覚処理機構の研究
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09780785
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上見 憲弘 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (70280857)
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Keywords | 音声 / ピッチ周波数 / 発声補助 / 人工喉頭 / 自然性 / 補綴 |
Research Abstract |
本研究では,自然な声を表出でき,しかも喉頭摘出者の障害の程度に応じて簡便に扱える発声代行装置の開発を目指す.またその過程で,音声学的知見,生体機能における新しい知見を得ることも目的とする. 研究によって得られた成果について以下に示す. 1. 昨年度の研究の結果から,呼気圧を利用したイントネーション制御型人工喉頭が実用化された.そして現在,約500名の喉頭摘出者が本人工喉頭を使用している.そこで簡便に使える人工喉頭の要件を探り出すため,人工喉頭の使用感やイントネーション制御機能についてのアンケート調査を行った.その結果,人工喉頭の基本機能に関わる形状や音量について,83名中8割の人が満足していることがわかった.イントネーション制御機能については,使いやすさの観点から,「満足している」という評価は得られなかった.その要因を調べるため,呼気圧の検出部部分である気管孔の形状を調べたところ,半数の被検者に陥没等の気管孔の変形が見られた.以上から,使用者個人個人への人工喉頭装置のフィッテングと,使い勝手の面からの人工喉頭装置の評価と改良の必要があることがわかった.また,全ての喉頭摘出者がこの方式を使えるわけではないことから,指圧による制御などの別の制御手段の重要性も明らかになった.2. 喉頭摘出者のみでなく他の発声障害者へのイントネーション制御型人工喉頭の適用例として,人工呼吸器使用者での本人工喉頭使用の可能性を探った.その結果,制御に使える呼気情報の抽出は難しく,呼気による制御の可能性は低いことがわかった 当初予定していた,発声代行装置のイントネーション制御手段の検討については現在もまだ不十分である.よって,今後も検討を加えていく.最終的には,(1)自然な声を表出できるより簡便な人工喉頭の開発,(2)イントネーションという要因が声の自然さに与える影響を明らかにすること,を目指していきたい.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 上見憲弘: "抑揚を制御できる電気式人工喉頭の製品化と喉頭摘出者による評価" 電子情報通信学会技術報告. SP98-152. 47-52 (1999)
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[Publications] 上見憲弘: "音声障害補助のための人工喉頭の活用法" 第19回バイオメカニズム学術講演会講演予稿集. 33-36 (1998)
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[Publications] 橋場参生: "抑揚を制御できる人工喉頭の製品化" 第19回バイオメカニズム学術講演会講演予稿集. 27-32 (1998)
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[Publications] Tohru Ifukube: "One Basic Research Approach for Assistive Technology in Japan" Proceedings of Computers and Assistive Technology. ICCHP'98. 499-508 (1998)