1997 Fiscal Year Annual Research Report
虚血心筋二次元興奮伝導シミュレーションシステムの開発と心臓異常電気活動の機序解析
Project/Area Number |
09780798
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
不破 輝彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (70219137)
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Keywords | コンピュータシミュレーション / 数理モデル / 心筋興奮伝導 / 二次元モデル / 心室筋 / 高速計算法 / 虚血心筋 / 不整脈 |
Research Abstract |
本研究の目標は,現状の心室筋興奮伝導解析システムの問題点の解決である.本年度の計画で掲げた以下の3項目について,各々の成果を述べる. 1.高速計算法の改良 研究代表者が提案していた従来の2次元心筋高速計算手法では,計算領域サイズが大きくなると,特に活動電位持続時間の誤差が増大する傾向が見られた.これは,高速計算法の特徴の一つである補間処理が誤差の蓄積を生じさせたことに原因があった.本年度では,このアルゴリズムを改良して誤差の発生を抑制させることに成功し、正常心筋2次元モデルにおいて,大幅な計算精度の向上が得られた.但し,虚血心筋モデルに対する計算効率が正常心筋よりもかなり低いため,この改善が今後の課題である. 2.虚血心筋表現能力の向上 これまでのモデルでは,短形の虚血領域を1箇所設定できるだけであり,比較的単純な興奮伝導解析しかシミュレーション出来なかった.本年度は,任意の大きさ,回転角度および虚血程度を与えられた複数の短形虚血領域の設定を可能とした.これにより,複雑なリエントリ-回路を形成することができるようになり,実際の生理実験に対応した興奮伝導シミュレーションの実現の可能性が示された. 3.虚血心筋モデルによる興奮伝導特性の解析 2次元心筋モデルにおいて,正常部から虚血部への虚血パラメータ(細胞外カリウムイオン濃度など)の勾配を左右非対称に設定し,左右の勾配を検討することにより,一方向性伝導及びリエントリの発生をシミュレーションすることに成功した.今後は,様々な虚血領域設定における挙動を検討し,心筋の電気的非線形特性を把握することが課題である.
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