1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780811
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤本 啓二 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (70229045)
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Keywords | 細胞膜 / 高分子鎖 / 保護層 / 白血球 / 血小板 / 活性酸素 / 血小板凝集 / 細胞表層 |
Research Abstract |
1,細胞膜へ高分子鎖を導入させるために、疎水性アンカー(octadecyl基)を有するポリジメチルアクリルアミド(PDMAAC18)を合成した。これを白血球懸濁液に添加(0.1g・L-1)し、過剰分を除去した後に細胞の異物認識能の変化を測定した。ポリスチレン表面との接触によって起こる活性酸素の産生が顕著に抑制された。改質細胞では刺激剤であるfMLPに対する応答性が低下してしまった。おそらく膜物性変化の影響が無視できないと考えられる。細胞膜へのアンカー数をできるだけ少なくして、最表面領域で後添加した高分子鎖との架橋を形成させることにより改善が図れるかもしれない。次に種々の濃度のPDMAAC18を血小板懸濁液に添加し、細胞表層に保護層を形成させることを試みた。添加濃度が0.1g/Lのとき、トロンビン添加によって誘起される血小板凝集に対して抑制効果を示す結果を得た。アンカー基のないPDMAAではいずれの濃度の場合にも抑制は認められなかった。この濃度(0.1g/L)で、血小板内部の遊離Ca2+濃度を測定したところ、ほとんど変動を示さなかった。おそらく、この凝集能の低下は、導入された高分子鎖由来の立体的反発作用によるものと、トロンビンと細胞レセプターとの結合部位がこの高分子層によって遮蔽されたためであると考えている。 2,膜レセプターを介して高分子鎖を導入するために、片末端に細胞接着性ペプチドRGDSを有するポリアクリルアミド(RGDS-PAAm)を合成した。白血球に添加して、ポリスチレン表面と接触させると、活性酸素の産生が顕著に抑制された。改質細胞にRGDS固定化微粒子を後添加したところ、固定化微粒子による活性化をも阻害することがわかった。RGDS-PAAmの細胞への結合はRGD-インテグリンを介したものであることも確かめた。これらはともにこの高分子鎖の保護効果を示している。
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