1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780811
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤本 啓二 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (70229045)
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Keywords | 細胞膜 / 高分子鎖 / 保護層 / 白血球 / 血小板 / 活性酸素 / 細胞凝集 / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
片末端に塩化シアヌルを有するポリジメチルアクリルアミド(PDMAA-CC)を、縮胞外皮に存在する糖鎖の水酸基、或いは膜タンパク質のアミノ基を介して細胞膜に導入し、細胞機能の変換を試みた。 1) 好中球様細胞の機能変化:活性酸素産生量を指標として検討を行った。ポリスチレン(PS)微粒子を添加した場合、PDMAA-CCを作用させた細胞では未処理の系、及び塩化シアヌルを固定していない高分子(PDMAA-NH_2)の系と比較して活性酸素産生量の減少がみられた。このような効果を示した濃度域においては、高分子鎖による毒性発現及び細胞の活性化は認められなかった。更に、この改質した細胞に走化性ペプチドであるfMLPを添加した場合、未処理の系と同様の活性酸素産生がみられ、機能低下が起こっていないことが分かった。一方、塩化シアヌルのみを作用させた系では、PS刺激、fMLP刺激ともに活性酸素の放出がみられなかった。 2) 血小板の機層変化:PDMAA-CCを添加したごく初期の血小板内遊離Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)の観察から、膜表面への高分子鎖の導入に際して血小板の[Ca^<2+>]iは変化せず、過度な刺激を受けていないことが確認された。血小板の機能変化については凝集能を指標として検討を行った。改質した細胞に凝集惹起物質トロンビン(分子量約4万)を添加した場合、凝集能の低下がみられた。一方、低分子惹起物質であるカルシウムイオノフォアA23187を作用させたところ、未改質の系と同様の凝集能を示し、トロンビンに対する凝集抑制は機能低下によるものではないことが分かった。 これらのことから、PDMAA-CCは細胞外皮の官能基を介して細胞膜に固定化され、新たに形成された遮蔽層によってある程度以上の大きさを有する物質の膜表面への直接的な到達が物理的に阻害され、細胞の認識能の低下に至ったものと考えられる。
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