1997 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性基含有ポリマー上で培養された動物細胞の応答性-光学活性基の細胞機能に与える効果に関する基礎的研究-
Project/Area Number |
09780812
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
青木 隆史 上智大学, 理工学部, 助手 (80231760)
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Keywords | 細胞培養 / 光学活性基 / PC12細胞 / 細胞増殖 / 親水性表面 |
Research Abstract |
本研究課題では、ポリマー中の光学活性基が細胞の接着性やその機能にどのような効果を示すのかを明らかにすることを目的としている。培養には、神経伝達物質であるドーパミンを合成・分泌するPC12細胞を使用した。なお、これら全ての実験において、それぞれのエナンチオマー(D-体とL-体)とラセミ体のそれぞれのモノマーからなる3種類のポリマーを検討項目に入れた。 側鎖に水酸基を有する光学活性基なメタクリルアミド誘導体を合成した。これらのモノマーについては、それぞれの鏡像異性体とラセミ体の3種類のモノマーを合成した。元素分析、NMR,IR,MS,旋光度計により合成物の同定を行った。ポリマーは、これらのモノマーを使い通常のラジカル重合により合成し、元素分析、NMR,IR,GPCなどから同定を行い、旋光度測定からそれぞれのポリマーが特有の旋光性を示していることが分かった。各ポリマーのメタール溶液をクリーンベンチ内で組織培養用シャーレ上に5ml注ぎ込んでコートして細胞培養床とした。ポリマー表面の物性評価として、接触角測定、XPSによる表面近傍の化学組成比測定を行った結果、いずれのポリマー表面上もほぼ同等の親水性な性質を示すことが分かった。PC12細胞の基本増殖培地としてDMEM(5%ウマ血清、5%ウシ血清、Gentamycin(30μg/ml)含有)培地を使用した。DMEM培地の細胞懸濁液(2-3X10^5cells/ml)を各シャーレに播種し、5%CO_2インキュベータ-内で所定時間培養した後、細胞形態の観察や増殖性の測定を行った。その結果、PC12細胞は、良好な接着性をどのポリマー表面に対しても示しものの、増殖性についてはラセミ体からなるポリマー上でやや有意に促進されていた。次年度は、この現象について詳細に検討すると共に、細胞の機能評価についても行なう。
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