1998 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシンによる自立型糖尿病強化インスリン療法システムの研究
Project/Area Number |
09780819
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
長倉 俊明 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部医用電子工学科, 助教授 (40288577)
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Keywords | 糖尿病 / マイクロマシーン / シリコンプロセス / 光造形法 / 半透膜 / 微小浸透圧駆動バルブ / ダイアフラム可動バルブ / 自立的システム |
Research Abstract |
現在国内の糖尿病患者は、約1000万人ともいわれ循環器疾患の大きな原因を占め、人工透析患者の30%や網膜症による失明の原因となり社会的負担が著しく増大している。しかし厳密な血糖管理で進行を抑制できるが、低血糖発作の危険にさらされてしまう。持続的に血糖値をモニターすれば安全であるが、実用的デバイスは存在していない。我々は生体内の化学量を積極的に動力源に利用し機械的運動する、糖尿病治療用アクチュエータを研究してきている。この原理を微細加工技術を用いたマイクロアクチュエータの開発をしてきた。これまでにシリコンプロセスを応用したバルブシステムを考案してきたが、さらに光造形法によるバルブ機構を設計した。 光造形法は、予め3次元CAD等により設計されたデータに基づいて、上方からレーザ光を液状感光硬化性樹脂にXY面走査し、水平断面形状に樹脂を硬化させそれを積層させる。この方法は半導体技術との融合が簡単であり、電子デバイスとの融合も容易である。 本研究の成果 (A) グルコース水溶液200mg/dlの濃度変化で可動膜の変位は20分間に5μmの変位を起こし、高濃度ほど変位量は大きく、また変位する速度も速いことが分かった。この性質は、糖尿用の治療時に高血糖時ほどインスリンの注入量を多く、さらに短時間に注入できることを意味し、インスリン療法に適した性質を持った浸透圧バルブとなりうることを示唆している。 (B) ブドウ糖溶液濃度変化によるバルブの流量は低濃度ほど少なく、高濃度ほど大い非線形性である。 (C) 約10mm^3の立方体の大きさでインスリンの量としては十分な量を注入できることが分かり、臨床的にも効果的に働き、十分に機能することを示すことが出来た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長倉俊明 他: "糖尿病治療のための微小インスリン注入システムの研究" BME. 12号 4巻. p.45-51 (1998)
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[Publications] 長倉俊明 他: "光造形法による糖尿病治療用微小インスリン注入システムの検討" 医用電子と生体工学. 第36巻. p.625 (1998)
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[Publications] 長倉俊明 他: "外部エネルギー供給を要しない血糖の自律的制御可能な浸透膜を用いた糖尿病治用持続インスリン注入装置値の研究" 医科学応用研究財団研究報告. Vol.16. p.64-69 (1997)