1998 Fiscal Year Annual Research Report
動物の光受容・情報伝達系はどのように出来てきたかを探る。
Project/Area Number |
09833005
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩佐 達郎 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (00133926)
|
Keywords | Gタンパク質 / ロドプシン / 分子進化 / 遺伝子クローニング / 刺胞動物 / カミクラゲ / 無脊椎動物 / 光受容 |
Research Abstract |
本研究では、動物の光受容・情報伝達系がどのように出来てきたかを明らかにするために、1)系統樹上で重要な位置を占める刺胞(クラゲ)、扁形(プラナリア)動物の眼で、どのような光受容オプシンタンパク質、情報変換タンパク質(Gタンパク質)が用いられているかを明らかにする。2)中枢神経系などにある眼以外の光受容、情報伝達系についても同様な検討を加えることを目的とした。本年度得られた成果は以下の通りである。 I) 昨年度、一次構造を明らかにしたカミクラゲ・オプシンタンパク質の抗血清を用いた免疫電顕により、オプシンタンパク質が繊毛部位にあることを確認できた。これにより、得られた遺伝子がカミクラゲの眼点て働いているオプシンのものであることが更に確かめられた。 II)蚕幼虫の脳、及び、単眼からオプシン遺伝子断片、さらにそのC末部位の配列を得ることが出来た。また、両者の配列は完全に一致した。これは、同一のオプシンタンパク質が幼虫の脳、及び、単眼で使われていることを示唆する結果である。さらに、C末ペプチドに対する抗血清を作製して、免疫組織化学的に調べたところ、幼虫の単眼で明らかな陽性反応が得られた。脳切片においては現在のところ明らかなシグナルは検出されていない。脳部位でのオプシンタンパク質の確認には試料の調製時期など更に検討を要すると思われる。 III) 扁形動物プラナリアの眼由来のcDNAからGq、GoクラスのGタンパク質遺伝子を得ることが出来た。それらの発現をWhole-mount in situハイブリダイゼーション法、及び、Gqタンパク質のC末配列に特異的な抗体を用いて調べたところ、Gqクラスのものが眼に大量に発現していることが示された。これらの結果はプラナリアロドプシンがGqクラスのGタンパク質と共役していることを示す結果である。これは脊椎動物、頭足類、節足動物以外では最初の報告である。
|
-
[Publications] Kobayashi,T.,et al.: "Femtosecomnd Spectroscopy of Halorthodopsin and Rhodopsin in a Broad Spectral Range of 400-1000 nm." J.Phys.Chem.B102. 272-280 (1998)
-
[Publications] Kikkawa S.,et al.: "A Novel Rhodopsin Kinase in Octopus Photoreceptor Possesses a Pleckstrin Homology Domain and is activated by G protein βγ Subunits." J.Biol.Chem.273. 7441-7447 (1998)
-
[Publications] Iwasa,T.,et al.: "NMR and UV-VIS Absorption Spectroscopic Studies on Fluorinated Octopus Rhodopsin and its Photoproducts." J.Phys.Chem.A102. 5602-5610 (1998)