1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本語母語話者と非母語話者の接触場面における談話形成プロセスの研究
Project/Area Number |
09834004
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鹿嶋 恵 (村上 恵) 三重大学, 留学生センター, 講師 (80283513)
|
Keywords | 談話分析 / 表現形式 / 空間 / フレーム / 母語場面 / 接触場面 |
Research Abstract |
本年度は、既に収録した日本語母語話者対非母語話者(上級日本語学習者)ペアの接触場面2の録音資料について、文字化作業およびデータベース化を完了させた。また、非母語話者(初級日本語学習者)対日本語母語話者ペアの接触場面3について談話資料の収録を行い、その文字化作業およびデータベース化を8割まで完了した。 他方、鹿嶋(1999)では、母語場面(日本語母語話者同士ペア)および非母語話者(上級日本語学習者)対日本語母語話者ペアの接触場面1の「道順説明」を談話資料として、そこで用いられている空間の参照フレーム(cf.Baayen&Danziger eds.1994)に焦点を絞り、その参照フレームが伝達される表現形式のタイプについて談話分析を行った。分析の結果、両者で用いられている表現形式のタイプは母語場面・接触場面ともに思いの外、限られていることが明らかになった。すなわち、「地図上のランドマーク」、「東西南北」、「左右上下」、「時計の文字盤」の4タイプである。特に、「左右上下」には、ルート・マップ型視点の場合と、サーヴェイ・マップ型視点の場合、という2つのタイプの異なりが認められた。これらの表現形式を、3種の空間の参照フレームの異なりとしてまとめると、まず、相対的参照フレームにはルート・マップ型視点の「左右上下」とサーヴェイ・マップ型視点の「左右上下」、および「時計の文字盤」が用いられていた。内在的参照フレームには、「地図上のランドマーク」、および上を北と定めた「東西南北」が用いられていた。これに対して、絶対的参照フレームは、この「道順説明」という課題達成実験においては、該当例を見つけることができなかった。
|
Research Products
(1 results)