1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の病変初期の脳にたまるβアミロイド蛋白の蛋白化学的解析
Project/Area Number |
09835003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森島 真帆 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50204722)
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Keywords | βアミロイド蛋白 / アルツハイマー病 / ELISA |
Research Abstract |
正常加齢脳及びアルツハイマー病脳を含む多数例の剖検脳を用いて、two-site-ELISAによりトリス生理食塩水可溶性画分と不溶性画分に含まれるβアミロイド蛋白の量を測定した。同時に各脳の隣接部位の組織切片を抗βアミロイド蛋白抗体で免疫染色を行った。得られた結果を比較対応させ解析した結果、脳内では加齢に伴ってβアミロイド蛋白が急激に蓄積すること、その蓄積の程度は免疫組織学的に検出されるβアミロイドの蓄積(老人斑)の程度と非常に良く相関することがわかった。さらに、免疫組織学的にβアミロイドの蓄積が検出されるよりも以前に、脳内にβアミロイド蛋白が溜まっていることが明らかになった。 次に病理変化の比較的少ない正常高齢者脳よりWestern blot法によるβアミロイド蛋白の検出を行った。病変の比較的初期に脳内に蓄積する分子種はΑβ42であり、種々のdetergentに不溶性を示した。この分子種の分子密度を調べるためにセシウム密度勾配遠心法で分画を行ったところ、βアミロイド蛋白の一部は脂質と同様の比重の軽い画分に分画された。しかしながら軽い画分と重い画分に分画されたβアミロイド蛋白はいずれも電気泳動上、合成βアミロイド蛋白のバンドと同一の移動度を示し、βアミロイド蛋白の種々の部位に対する抗体の反応性も同様であった。また、βアミロイド蛋白の分画分布状態は正常高齢者脳とアルツハイマー病脳で相違が無かった。さらにin vitroで重合させた合成βアミロイド蛋白を脳ホモジェネートと混合した場合にも、βアミロイド蛋白は比重の軽い画分に分画された。このことは重合したβアミロイド蛋白自身に脂質と結合する性質があることを示唆する。また以上の結果から、正常高齢者脳で初期に蓄積するβアミロイド蛋白は、Down症候群患者脳で報告されている脂質結合性βアミロイド蛋白とは異なることが示唆された。
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[Publications] Yasuhisa Shinkai: "Amyloid β-protein deposition in the leptomeninges and cesebral cortex" Annals of Neurology. 42・6. 899-908 (1997)
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[Publications] Jun Nakabayashi: "Amyloid β-protein(Aβ)accmmulation in the prtamess and manillary body during aging and in Alzheimer disease" Journal of Neuropathology and Experimental Neurology. 57・4. 343-352 (1998)