1998 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の病変初期の脳にたまるβアミロイド蛋白の蛋白化学的解析
Project/Area Number |
09835003
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Research Institution | The Universi of Tokyo |
Principal Investigator |
森島 真帆 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50204722)
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Keywords | βアミロイド蛋白 / アルツハイマー病 / ELISA |
Research Abstract |
1. これまでの研究から、免疫組織学的にβアミロイドの蓄積が検出されるよりも以前に脳内にβアミロイド蛋白がたまって来ることが、ELISAを用いた生化学的手法により明らかになった。そこで、初期に脳に蓄積してくるβアミロイド蛋白の性質をWestern blot法により調べた。その結果、ELISAのみでβアミロイド蛋白が検出される脳には、βアミロイド蛋白の単量体だけでなくSDS処理に安定な二量体も存在していることが明らかになった。また、この過程で、現在用いているELISA系はβアミロイド蛋白二量体を認識しないことが分かった。そこで、ELISAによりβアミロイド蛋白が検出できないような、沈着の最初期段階と考えられる脳を選び出し、Western blot法による解析を行った。その結果、これらの脳の中には、βアミロイド蛋白二量体が検出されるが単量体が検出できない例が複数存在した。この二量体には、Aβ40とAβ42の両方が存在する。従って、脳内ではβアミロイド蛋白蓄積の非常に初期段階からその二量体が蓄積していると考えられ、これが核となってβアミロイド蛋白の重合が起こり沈着していく可能性が示唆された。 2. ヒト神経芽細胞を用いてβアミロイド蛋白の局在を調べることにより、βアミロイド蛋白が正常な神経系細胞において、可溶性画分だけでなく不溶性画分にも存在し、そこにはSDS安定性のβアミロイド蛋白二量体と思われる分子種が見られることが明らかになった。さらにこの不溶性画分に含まれるβアミロイド蛋白の約半分は、カベオラ様の低密度の軽い膜画分に局在していた。そこで、次にヒト脳を用いて、同様の可能性について検討した。ショ糖密度勾配遠心法により分画することにより、ヒト脳においてもβアミロイド蛋白が低密度膜画分に局在することが分かった。今後は、この膜画分に存在するβアミロイド蛋白が、脳内での沈着にどのように関わっているかを明らかにし、膜画分のβアミロイド蛋白と二量体との関係の検討、および二量体の蛋白化学的な解析を行う予定である。
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[Publications] Morishima-Kawashima M.: "The presence of amyloid β-protein in the detergent-insoluble membrane compartment of human neuroblastoma cells." Biochemistry. 37・44. 15247-15253 (1998)
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[Publications] Enya M.: "Appearance of sodium dodecyl sulfate-stable amyloid β-protein(Aβ)dimer in the cortex during aging." Am.J.Pathol.154・1. 271-279 (1999)