1998 Fiscal Year Annual Research Report
白内障発症過程におけるタンパク質分解の機構とその意義に関する研究
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09835017
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
猪股 光司 財団法人 東京都老人総合研究所, 蛋白質生化学部門, 主任研究員 (30142649)
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Keywords | 白内障 / タンパク質分解 / クリスタリン / カルパイン / シャペロン様活性 / アミノグアニジン / NO合成酵素 |
Research Abstract |
申請者は遺伝性白内障ラットであるSCRの水晶体を用い、白内障の発症とカルパイン依存性タンパク質分解との関連性を解析している。これまでに、1)カルシウム濃度の変動、2)カルパインの動態(活性化等)、3)カルパイン依存性タンパク質分解の生化学的解析、4)カルパインによる限定分解で不溶化するタンパク質の検索、5)α-クリスタリンのシャペロン様活性に及ぼすカルパインの影響、6)カルパイン依存性タンパク質分解の免疫組織化学などの解析から、水晶体の混濁化にはカルパイン依存性のタンパク質分解が深く関わっていることを明らかにしてきた。 本年度は、カルパイン阻害剤(カルペプチン)を含む種々の薬剤にについて抗白内障作用を検討した。残念ながら、カルパイン阻害剤は水晶体内部への浸透性に問題があり(水,晶体の構造特性によるものと思われる)、明確な抗白内障効果を見出すことは出来なかった。しかし、誘導型NO合成酵素の阻害剤として知られるアミノグアニジンに強い抗白内障作用がある(経口投与)ことを見出した。しかも予備実験の段階ではあるが、アミノグアニジンを投与した水晶体ではカルパイン依存性のタンパク質分解も抑制を受けることが明らかとなった。現在、アミノグアニジンの作用機作について詳細な解析を進めている。
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