1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09837001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
元永 和彦 金沢大学, 法学部, 助教授 (80272938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 博志 千葉大学, 法経学部, 助教授 (70251189)
神前 禎 学習院大学, 法学部, 助教授 (20204795)
道垣内 正人 東京大学, 法学政治学研究科, 教授 (70114577)
横溝 大 金沢大学, 法学部, 助教授 (00293332)
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Keywords | 国際私法 / 国際民事手続法 / 電子商取引 |
Research Abstract |
電子商取引は、非電子的に行われている従来の取引を電子的手段によって行うものであると言えるが、手段上の特性が取引の実質的な問題点にも影響を与えざるを得ない点が特徴的であると考えられる。これは、国際私法的・国際民事手続法的観点から考えた場合でも同様である。例えば、取引当事者が物理的に異なる国に所在することが当事者の取引にとってなんら困難とならないという電子商取引の特性は、必然的に異法地域での取引が当事者さえ意識しないで行われるということを可能にするが、これは、従来存在した形の国際取引とはかなり変わった形のものであると考えられる。そこから派生的に、特に消費者を相手とする取引の場合にまま行われる取引内容に対する法的規制が、異なる準拠法が指定されることによって簡単に潜脱されてしまうといった問題が生じることが予想される。同様に、ある種の事業遂行上国内法が要求する免許・登録等も、国外に居ながらにして事業を行うことが可能な電子商取引にあっては実効性を失う可能性が高い。特に、電子マネー等の利用により、取引の一切がサイバースペース上で遂行されるような場合には、その蓋然性は高く、本来国内に所在する者がサイバースペース上では国外に所在する者を装って国内法の規制を潜脱することを試みることすらありうる。また、電子商取引に伴うトラブルを法的に処理しようとする場合にも、従来の国際民事手続に頼らざるを得ないが、これは電子商取引と比べて著しく国境の壁が高く、そのギャップがトラブルの解決に当たって大きな障害となる可能性は高い。このような国際私法・国際民事手続法的問題点を解決するのに、従来型の手段で十分かどうか、或いは新しい手段を考慮する必要性があるのかの検証が、次年度以降の課題となろう。
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