1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09839022
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
嶌 洪 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 教授 (70038280)
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Keywords | 高等双翅類 / ヤドリバエ科 / 寄生 / 進化 / 適応 / 形態学 |
Research Abstract |
1. 野外におけるヤドリバエの生息状況および寄主昆虫の調査のため,7月下旬に約2週間,長野県において野外調査を行った。この調査によって未記載の数種を含む約100種のヤドリバエが得られ,各種についての生息場所と発生状況の確認をおこなった。 2. ドクガ科やヒトリガ科など長い毛をもつ幼虫に寄生する広義のCarcelia属について,卵殻や1齢幼虫の形態と雌腹部末端の構造などから,属内での種による寄主への適応の違いを明らかにし,これらの構造と雄交尾器との相関によって系統関係を推定し,グルーピングを行った。この結果をイギリス・オックスフォードで開催された第4回国際双翅学会議において口答発表した。 3. ヤドリバエの産卵植物や産卵場所の選択性,1齢幼虫の生存期間を調査するため,卵胎生,卵生,微小卵性の産卵習性をもつ種を各数種ずつ選び,室内実験を行った。この実験はなお継続中であるが,寄主の寄主植物に産卵する微少卵性のヤドリバエの場合,葉の縁2cm位の位置を選んで産卵する傾向があることが判明した。また待機型幼虫の生存期間は約2週間におよぶことが分かった。 4. これまでに発表された寄主記録と,新しく蓄積されたデータをまとめ,日本産ヤドリバエ約180種の寄主記録を整理した。ヤドリバエ科の寄主としては,日本においては鱗翅目約330種,鞘翅目約23種,半翅目および膜翅目各30種,直視目9種,カマキリ目2種,革翅目およびナナフシ目各1種が選ばれていることが判明した。この結果をまとめ,日本双翅学会会誌に発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shima, Hiroshi(嶌 洪): "Host parasite catalog of Japanese Tachinidae(Diptera)" Makunagi/Acta dipterologica. Suppl.1. 1-106 (1999)
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[Publications] Shima, Hiroshi(嶌 洪): "Problems of the svstematics treatment of Carcelia Robineau-Desvoidy and related genera(Tachinidae)" Abstract of IV Int. Congr. Dipterology. 204 (1998)