1997 Fiscal Year Annual Research Report
消化管のないチューブワ-ムは如何に地球を食べるか?
Project/Area Number |
09839023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三浦 知之 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (10199953)
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Keywords | 海底火山 / 化学合成生態系 / 硫化水素 / 栄養生態 / 環形動物 / 安定同位体 / 鹿児島湾 / 深海生物 |
Research Abstract |
初年度は、できるだけ鹿児島湾の野外調査に重点をおいた。6月に海洋科学技術センターにおいて、調査に用いる機器の設計・作成などの打ち合わせを行った。その結果、野外での染色装置が調査までにできあがった。 第一回の調査は、海洋科学技術センター深海研究部との共同で無人探査機調査を9月1日-3日を実施した。これらの野外調査では、まず、現場でのサツマハオリムシの成長を調査するため、野外の生体に対するマ-キングを試みた。堆積物の少ない深海では成功しそうであるが、鹿児島湾では堆積物に包まれた棲管がうまく染まらなかった。このため、別途ペイントで 着色した個体を再放出し、1年後に再度観察することにした。 9月29日には、潜水調査船「しんかい2000」の共同利用による潜航調査を行った。この調査では、サツマハオリムシの分布状況を把握することができた。また、大型の群集が数個しかないのし比べ、小型のコロニーが無数散財していた。大型コロニーにかんしてはいずれも海底からの噴気が確認できた。 採集個体の一部は硫黄同位体比の分析用の材料とした。現在も分析を続けているが、海底からの火山性噴気にふくまれる同位体の組成とはかなり異なった値がでてきているので、分析を繰り返すとともに、その機構に関して新たな作業仮説をつくり、来年度の採集、実験、分析で確認することにした。飼育個体の分析とも合わせれば、チューブワ-ムの体内で起きている栄養摂取の特異性が明らかになると考えている。 初年度の研究は潜航調査結果を中心とした成果として、年末に東京で開催される国内シンポジウムで発表した。
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[Publications] T.Miura: "Lamellibrachia satsuma,a new species of vestimentiferan worms (Annelida : Pogonophora) from a shallow hydrothermal vent in Kagoshima Bay,Japan" Proc.Biol.Soc.Washington. 110(3). 447-456 (1997)