1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09839026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
邑田 仁 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90134452)
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Keywords | ジンチョウゲ科 / シュート構成 / 分類 / 分子系統 / 進化 |
Research Abstract |
本研究では、ジンチョウゲ科のシュート構成の多様性を具体的に明らかにし、それらが比較的単純な基本型から由来していることを示し。同時に、日本産の植物および代表的なグループについて特定のDNAの塩基配列を比較し、得られた系統関係に基づき、シュート構成がどのように進化してきたかを示すことを目的としている。平成9年度は以下の研究を行った。 生植物の調査と観察:9年春を中心に東京都西部地域に自生するオニシバリについて調査、観察した。11月には小笠原諸島のムニンアオガンピを調査した。このほか、東京大学理学部附属植物園、摂南大学薬学部附属植物園などで栽培されているオニシバリ、ナニワズ、チョウセンナニワズ、コショウノキ、ジンチョウゲ、フジモドキ、ミツマタなどを材料とし、主に花序形成の過程に注目して継続的にシュート伸長の比較観察を行った。この結果、ミツマタを除き、花序はシュートに頂生し、花序を囲む苞のうち最も花序に近いものの腋から仮軸分枝が起こり、シュートの伸長を継続することが明らかとなった。ミツマタの花序の位置関係はまだ不明である。また、フジモドキでは花序枝の葉序が互生から対生へと移り変わることが観察された。 ハ-バリウム標本の検討:東京都立大学牧野標本館、京都大学理学部、東京大学総合研究博物館に所蔵されるジンチョウゲ科の標本を比較検討し、上記の生植物での観察と比較しつつ、標本上に現われるシュート構成の特徴を読み取った。この結果と、上記のシュート構成についての一般則をどう対応づけたらよいかを検討中である。 分子系統解析:上記の生植物などから採取した葉を分子系統解析のための資料に用い、全DNAを抽出した後、とりあえずrRNAのITS領域を対象にPCRで増幅し、オートシークエンサーによる塩基配列の決定を開始した。次年度の解析のため、ミズ-リ、シドニー、キューなどの植物園に資料の分譲を依頼中である。
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