1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09839026
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
邑田 仁 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90134452)
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Keywords | ジンチョウゲ科 / シュート構成 / 分類 / 分子系統 / 進化 |
Research Abstract |
本研究では、ジンチョウゲ科のシュート構成の多様性を具体的に明らかにし、それらが比較的単純な基本型から由来していることを示し。同時に、日本産の植物および代表的なグループについて特定のDNAの塩基配列を比較し、得られた系統関係に基づき、シュート構成がどのように進化してきたかを示すことを目的としている。平成10年度は以下の研究を行った。 生植物の調査と観察: 東京大学理学部附属植物園に栽培されるミツマタを材料とし、シュート構成の調査を継続的に行った。この結果、葉序の観察および花芽形成期の茎頂の観察からミツマタの3分岐は主軸とその分技2個から構成されることが明かとなった。また別の国際学術研究での現地調査通じて、中米でDaphnopsisについて、摂南大学薬学部附属植物園で栽培されるAquilariaについて、それぞれシュート構成を観察した。オニシバリ、ナニワズ、チョウセンナニワズ、コショウノキ、ジンチョウゲ、フジモドキなどについても前年度に引続き比較観察を行っている。 ハーバリウム標本の検討:生植物の観察を補うため、東京都立大学牧野標本館、京都大学理学部に所蔵されるジンチョウゲ科の標本をさらに比較検討し、シュート構成の特徴を検討した。 分子系統解析:オニシバリ、ナニワズ、チョウセンナニワズ、コショウノキ、ジンチョウゲ、フジモドキ、ミツマタ、Daphnopsis、Aquilaria、シャクナンガンピ、コガンピ、ミヤマガンピなど19種から全DNAを抽出した後、葉緑体DNA上のmatK遺伝子を対象にPCRで増幅し、オートシークエンサーにより塩基配列を決定しこれに基づいて系統樹を作成した。この結果、ミツマタは他の日本産ジンチョウゲ科の姉妹群となること、フジモドキはDaphne属に含まれず、ガンピ属に近縁であることなど多くの新知見が得られた。
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