1998 Fiscal Year Annual Research Report
ミジンコ類の進化と形態多様性に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
09839034
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
山形 秀夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20023468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 靖弘 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (00277253)
時下 進一 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60266898)
|
Keywords | ミジンコ / 分子進化 / 形態形成 / ヘモグロビン / ホメオボックス / 遺伝子解析 / 胚発生 / 低酸素応答 |
Research Abstract |
ミジンコ類を材料として、その進化と形態多様性に関して以下の解析を行った。 1. オオミジンコからヘモグロビンを精製し、変性二次元電気泳動により解析し、少なくとも6種類のヘモグロビン鎖の存在を明らかにした。また6種類のヘモグロビン鎖のN末端アミノ酸配列を解析し、これらの構造遺伝子が少なくとも4つ存在することを明らかにした。さらにこれらのヘモグロビン鎖の発現が酸素濃度の低下に応答して、それぞれ異なる度合いで促進されることを見いだした。既にクローン化されていたオオミジンコcDNA 3種類の相同性の高い部分をプローブとしてcDNAライブラリーを検索し、新たに1種類のcDNAを単離して塩基配列を決定した。また4つの遺伝子が構成するクラスターの最上流約2kbを除く全塩基配列を決定した。タマミジンコから新たに1種類のヘモグロビン鎖cDNA及び染色体DNAを単離してクラスター構成を解析した。これらの結果に基づきミジンコ類のヘモグロビン鎖の特徴と分子進化について考察した。 2. ミジンコの形態形成調節タンパク質の1つであるUbx/Abd-Aに保存されている配列を認識するモノクローナル抗体を用いてオオミジンコ胚に対する免疫染色を行い、このタンパク質が第2、第3、第4胸脚で発現しているが、形態の異なる第1、第5胸脚では発現していないことを見いだした。この結果よりミジンコの胸脚の形態の違いは異なるHox遺伝子が発現することにより決定されている可能性を示した。 3. ミジンコ胚のin vitro発生系を用いて、エチレンチオユリアにより誘起される形態形成異常について解析した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Toshihiro Ohta: "An assay system detecting environmental toxicants with cultured Cladoceran eggs in vitro: Malformations induced by ethylene-thiourea." Environmental Research. 77. 43-48 (1998)
-
[Publications] 山形 秀夫: "愛嬌ある容姿と抜群の環境適応能力 : ミジンコ." 実験医学. 16. 927-927 (1998)
-
[Publications] 志賀 靖弘: "ミジンコの可能性" 生命誌. 6・2. 20-21 (1998)
-
[Publications] Shoko Kimura: "Heterogeneity and differential expression under hypoxia of two-domain hemoglobin chains in the water flea, Daphnia magna." Journal of Biological Chemistry. (印刷中).
-
[Publications] 大島泰郎,多賀谷光男,山形秀夫 等: "生命科学への誘い" 東京化学同人, 146 (1998)