1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09839039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | College of Nagoya Bunri University |
Principal Investigator |
竹中 晃子 名古屋文理短期大学, 食物栄養学科, 教授 (50236486)
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Keywords | 霊長類 / プロセスト遺伝子 / P117 |
Research Abstract |
プロセスト遺伝子は機能している遺伝子から転写されたmRNAからイントロンが抜けた後、逆転写酵素によりcDNAへと転写され、インテグラーゼの作用により元のDNAとは異なる位置に挿入された遺伝子である。従ってプロセスト遺伝子が存在するということは進化の過程で生殖細胞において逆転写酵素とインテグラーゼが働いたことを示している。プロセスト遺伝子の挿入時期や挿入部位を検討することにより、霊長類の系統においてこれらの酵素が如何に働いたかを推測することが可能となる。 まず初めにヒトの機能している本来のP117遺伝子をロングPCR法で増幅したところ約2kbの長さが得られ、塩基配列を決定したところ、開始コドンから数えて31番目、207番目と259番目の塩基の次にそれぞれイントロンが挿入されていることが明らかになった。従ってP117タンパク質は4つのエクソンから成っている。この塩基配列をカニクイザルで得られたP117プロセスト遺伝子と比較すると7塩基置換であるが、6塩基は同義置換で1塩基が51番目のアミノ酸がVal(カニクイザル)、Met(ヒト)の置換であった。カニクイザルの本来の遺伝子の増幅も行い約3kbの長さが得られたので現在配列を決定している。 各種霊長類のプロセスト遺伝子P117の完全塩基配列を決定しつつある。マカカ属サルと新世界ザルのP117プロセスト遺伝子はPCR法により簡単に増幅できるが、類人猿のはチンパンジー、ボノボを除いて増幅が難しく試行錯誤を繰り返している。プライマーを終始コドンとポリ(A)シグナルの間に設定しているので、種により塩基配列が著しく異なるのかもしれないと考え検討中である。 さらに本来のP117遺伝子の染色体上の位置を明らかにするため、カニクイザルとヒトの白血球の増殖を行い、ビオチンラベルしたプローブを準備している。
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