1998 Fiscal Year Annual Research Report
古海洋環境指標としての生物源シリカ堆積岩の自然史科学的研究
Project/Area Number |
09839041
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 靖二 国立科学博物館, 地学研究部, 研究部長 (00000133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 好洋 国立科学博物館, 地学研究部, 研究室長 (80141985)
松原 聰 国立科学博物館, 地学研究部, 研究室長 (40000137)
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Keywords | 珪質堆積岩 / チャート / 硬質頁岩 / 放散虫 / 珪藻 / 生物源シリカ |
Research Abstract |
地質調査は日本海側の地層群を中心に行なわれ,珪質堆積岩としてチャートがおもに収集されたが,新生代の地層では硬質頁岩と珪藻土が採集された.調査の過程において,熱水による変質作用で形成されたシリカ沈澱物から,2種の新鉱物が発見されている.調査研究で得られた情報を比較研究に活用していくために,標本資料のデータベース構築について,博物館の蓄積資料とあわせて検討を行なった. 収集資料については,通常の偏光顕微鏡および走査型電子顕微鏡観察から,珪質堆積岩の主体をなすシリカが,放散虫や珪藻といった珪質生物遺骸であることが確認され,混在する他の構成物質については鉱物内容が分析され,おもにイライトやクロライトからなることが確かめられた.また,熱水性シリ力沈澱物にふくまれる燐酸塩鉱物などが識別されたが,ボロンの珪酸塩鉱物Okayarmaliteや砒素と鉛の硫化物tsugaruiteといった新鉱物が発見され記載された.このような生物源および無機化学的沈澱による構成物質から,冷水塊における珪藻の高い生産量や熱帯水域での放散虫のブルーミングに関連して形質堆積岩の堆積条件を考察し,くわえて熱水作用が示唆する海洋底環境についても推定し,古海洋環境解析の基礎データとした. 形質堆積岩,形質微化石,および関連する鉱物の資料は,博物館においては整理・標本化されて,附随する情報とともに登録保管されて,利用に供される.そのためデータベースの活用方式について検討し,鉱物資料の一部については博物館のホームページで公開を試みた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 斎藤靖二: "自然史系博物館の標本資料データベースについて-地質科学資料を例に-" 情報の科学と技術. 48・2. 95-100 (1998)
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[Publications] Saito,Y.(共著): "Petrological study of Jurassic and Cretaceous sandstones in the western end of the Chugoku province,southwest Japan" Mem.Natn.Sci.Mus.,Tokyo. 31. 11-22 (1998)
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[Publications] 斎藤靖二(共著): "自然史資料の収集-保管と利用" 地質ニュース. 532. 35-40 (1998)
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[Publications] Matsubara,S.(共著): "Phosphates from the Hinomaru-Nako mine,Abu-cho,Yamaguchi Prefecture,western Japan" Mem.Natn.Sci.Mus.,Tokyo. 30. 167-183 (1998)
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[Publications] Matsubara,S.(共著): "Okayamalite,Ca_2B_2SiO_7,a new mineral,boron analogue of gehlenite" Mineralogical Magazine. 62・5. 703-706 (1998)
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[Publications] 谷村好洋: "「微化石標本のリファレンス・センター」としての自然史博物館" 地学雑誌. 107・6. 803-808 (1998)