1999 Fiscal Year Annual Research Report
南極環流の成立がもたらした海洋プランクトン珪藻の変遷
Project/Area Number |
09839042
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
谷村 好洋 国立科学博物館, 地学研究部・古生物第四研究室, 室長 (80141985)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 雅夫 高知大学, 理学部, 助手 (90274357)
|
Keywords | 海洋プランクトン / 南極環流 / 珪藻 |
Research Abstract |
本年度、以下の成果が得られた. 1.珪藻化石帯の修正 国際深海掘削計画のSite1095において南大洋珪藻化石層序の再検討を行ない、2亜帯の新区分と、1示準種の提唱をした.従来の南大洋珪藻化石層序は主としてインド洋、大西洋より得られた試料の定性分析に基づいて構築されたものであった.この成果により、太平洋セクタではじめて珪藻化石層序と古地磁気層序との対比がなされ、絶対年代によりイベントの等時性・異時性が議論できるようになった. 2.珪藻化石群集の示す西南極氷床発達史 国際深海掘削計画のSite1095(0-9.5Ma),Site1096(2.0-4.8Ma)の珪藻化石群集に以下の特徴が見い出された.(1)7.8-6.2MaにParalia sulcataの増加が見られる.底生種の増加も同調している.(2)5.7,5.2-4.7,4.4-3.6MaにThalassionema属の顕著な増加が見られる.(3)2.8Ma以降、珪藻の沈積がほとんど認められなくなる.(1)は後背地(南極大陸及び周辺陸棚域)に低塩分の浅海域が広がっていたことを示し、現在のような500-1000mの陸だなに囲まれた環境はこれ以降に形成されたと考えられる.Thalassionema属は現在の海洋において,極前線より低緯度に分布する.(2)で示された期間、現在より数度(6-9度)高い水塊の影響下にさらされたと考えられる.2.8Ma以降珪藻の沈積が認められなくなるのはこの海域が通年氷におおわれ表層での生物生産が阻止された可能性が高い.こうした寒冷化は北半球の氷床発達開始に調和的なタイミングで生じている.
|
-
[Publications] Tanimura Y.: "Varieties of a single cosmopolitan diatom species associated with surface water masses in the North Pacific"Marine Micropaleontology. 37. 199-208 (1999)
-
[Publications] 谷村好洋: "珪藻化石による年代決定とその応用"月刊地球. 号外26. 212-218 (1999)