1998 Fiscal Year Annual Research Report
西欧における近代的機構の形成とそのわが国への導入についての研究
Project/Area Number |
09871002
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
中路 正恒 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40188941)
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Keywords | 盟誓 / 歃血 / 香鑪 / 聖明王 / 探湯 / 十津川村 / ケズリバナ / 御幣の形状 |
Research Abstract |
本年度は年度の当初からフランス国立図書館、および古文書館所蔵の一次資料の入手が可能になり、そのマイクロ・フィッシュを入手したが、本学のマイクロフィルム・リーダーがきわめて旧式であり、そのためのトラブルによって、事実上11月にアルバイトに依頼して、コピー作業を始めるまで、フランス近代機構関係の資料の読解を進めることができなかった。11月以降『リヨン市の学校についての規則』をはじめとする諸資料の読解を進めたが、その厳密な考察はまだなしえていない。また昨年度来始めたラサールの『キリスト教学校の運営』のデジタルテキスト化は、フランス語の読み取りのできるOCRソフトを購入し、進めようとしたが、やはりテキスト自体の汚れのため誤読が多く、また本年は適当なアルバイターも見つからず、その作業は中絶したままである。また、本学図書館からは、デジタルテキストや、それを印刷した冊子は図書館として受け付けることができず、それ故、それを学外からの求めに応じてコピー・サービスすることもできない旨通知された。そのため、この作業を無駄にしないためには、今後、書籍としての出版や別の図書館での引き受け等を探さなくてはならなくなった。それらの事情により、本年度実質的にもっとも進んだ仕事は、日本の前近代についての研究だった。一方で、十津川村を中心に、山の生活を主にした文化とその伝播について、窓鋸等の道具、オコゼやケズリバナ等の呪具、作業歌等について山形や徳島との関係を発見し、またその対比を考察した。とりわけ山の神に捧げる当地のケズリバナは、私の知るかぎり日本の南限に位置するものだが、2センチほどの厚板を角形のまま削って作る形式のものが多く、その形は、同じく角形の軸木を使う春日大社の御幣に類似している。また、近代天皇制と対比さるべき古代天皇制における盟誓の意味について考察し、その論考を本年度発行した拙著の中に収めた。
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Research Products
(1 results)