1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09871023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横尾 佐世 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助手 (20260507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 美紀子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (60242088)
重松 マーフィスティーブ 東京大学, 留学生センター, 助教授 (30262158)
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Keywords | 留学生 / 配偶者 / 生活困難 / 家族 / 不安 |
Research Abstract |
実施したアンケート調査からは次のような傾向が明らかになった.まず、もともとアジア出身の留学生が多いこともあり、回答者のおよそ78%がアジア系、しかも中国籍・韓国籍であった.このうち、来日前も来日後も主婦・無職とその状態に変化のない者は0.8%しかいなかった.しかし、来日前は職業を持っていたのに来日後に主婦・無職となっている者はは28%、学生という者も41%いた.このことは日本留学に同伴した配偶者たちが日本において自分のステイタスを得ることが難しいことを示していると同時に、配偶者自身も自分のキャリアに日本滞在を有効に生かそうという積極的志向を反映していると思われる.語学力に関しては、留学生は日本語か英語のどちらかが使えるわけだが、日本語にも英語にも不自由を感じている配偶者が25%ほどいた.このような場合、配偶者たちは日本留学に同伴するか否かを決めるには困難があったと言い、言葉や生活に対して大きな不安を抱きながら来日していることがうかがえる. 上記のアンケート調査から面接調査に進むにあたり、面接調査のレベルを充実させるために配偶者の一部に協力してもらった.彼女らには我々の面接調査のフォーマットを作り上げるための初期面接に応じてもらった.彼女らによって明らかにされた主な問題は、住宅に関する費用の問題、生活費としての奨学金の不十分さ、そして日本において合法的に仕事に就くことの難しさであった.また夫の日本留学に同伴して日本に来たことにより、自分自身のキャリアが中断されてしまったこと、今まで築いてきたステイタスや仕事を失ってしまったこと、社会活動から隔絶されてしまったことをあげた.しかしながら、夫が日本で研究を成功させるためには、自分達が夫と日本に一緒にいることがとても重要であり、自分達がいかに夫を支えているかについても強調した. 今後はこの初期面接調査の結果を活用し、面接未実施の配偶者たちに対して有意義な面接を行い、支援プログラムを作成する.
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