1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09871024
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
岩立 京子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40185426)
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Keywords | 幼稚園教諭 / キャリア形成 / 人格特性 / 人間関係 |
Research Abstract |
質問紙調査:昨年度実施した質問紙調査において、(1)キャリアの形成が職場の人間関係に影響を受け、必ずしもキャリア年数に応じてなされていないこと、(2)保育における体験内容を保育者の人格変数や職場の人間関係などの条件との関連があることが示されたので、今年度は(2)についてより詳細な調査を行った。人格変数としては、帰属傾向と対人志向性を取りあげた。主な結果は以下の通りである。 (1) 内的帰属傾向が高い人は学級経営や子どもの実態の捉えがうまくいかないときに自己責任性を感じて悩みやすい。帰属傾向と保育における新たな理解や発見とは関連がみられない。 (2) 対人志向性の高さ、気になる幼児への対応で悩むこととは関連があり、気になる幼児への対応がうまくいかないときに、志向性が高い人ほど悩みやすい傾向がある。一方で、対人志向性が高いと、幼児を理解することに喜びを見いだしやすい。 (3) 複数の相談相手を職場にもつ人は個々の幼児の理解・個々の幼児とクラス全体の関わりや子どもとの信頼関係についてより多く気づき、楽しむ傾向が高い。 全体的に、保育者の人格特性と保育で「悩む」傾向との関連がみられたが、キャリアの形成とは明確な関連がみられなかった。また、複数のサポート源をもつ人が保育に関する多くを発見をし、また、喜びを見いだす傾向が高いことが示された。今後は、保育者のキャリア形成を既定するでであろう活動の枠組み(実践に内在する理論的枠組みのひとつ)を詳細に検討するために、「教師の経験の語りの研究」の必要性が示唆された。
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