1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09871026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外山 みどり 大阪大学, 人間科学部, 教授 (20132061)
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Keywords | 社会的認知 / 帰属過程 / 文化 / 実験的研究 |
Research Abstract |
社会的推論や帰属の過程に文化による違いがあるのか否か、あるとすればどのような差があるのかという問題を研究する際には、まず様々な方法論上の問題点を解決しなければならない。つまり各国(各文化)で使われる実験材料・刺激などの等価性を保証するために、予備実験や翻訳-逆翻訳による刺激文の同等化などの手続きを入念に行う必要がある。本年度は、主にこのような方法論上の問題を解決することに専念した。 本研究で取り上げる主要なテーマは、社会的場面における他人の行動の知覚において、個人側の要因に関する推論と周囲の状況に関する推論の相対的な重要性が、文化によって異なるか否かという問題であるが、本年度はDr.Krull(Northern Kentucky大学)の実験で使われた映像刺激をアメリカから送付してもらい、それをコンピュータに読み込んで、刺激提示、反応の記録、反応時間の測定、反応の分析など、実験実施のための準備を行った。アメリカで使われたのと同じMacintoshのコンピュータを購入し、同一のソフトの日本版を用いてファイルを読み込んで、実験プログラムの準備を行ったが、日米のコンピュータソフトの微妙な違いが原因でいくつかの技術的な問題が生じ、現在その修正中の段階である。また質問項目など言語刺激の翻訳に関しては、外山が英語から日本語に翻訳し、バイリンガルの翻訳者が再度英語に翻訳し直して日本語訳をチェックするという形で検討を行っている。今後、実験プログラムの調整をさらに行い、実験実施可能な状態にした上で、来年度は、日本人用の刺激と反応測定用の質問の確定、予備実験、本実験へと進む予定である。社会的推論については、領域や種類によって文化差の表れる場合と表れない場合があると予想されるが、予備実験の結果などを参考に、文化差の有無についてより詳細な仮説を構築し、それを本実験で検証することをめざす。
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