1997 Fiscal Year Annual Research Report
統合化過程のヨーロッパにおけるEUの異文化間教育政策の研究
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09871047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉谷 武志 九州大学, 教育学部, 助教授 (60182747)
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Keywords | 異文化間教育 / マイノリティ教育 / 多文化教育 / 移民教育 / EUの教育政策 / 外国人子女教育 |
Research Abstract |
3年計画の初年度に当たる本年度は、主としてEUの移民教育関係資料及び異文化間教育関係資料・報告書、欧州審議会の異文化間教育関係資料・報告書を収集し、整理を行った。 詳しい資料分析は次年度以降に行う予定であるが、当面の資料分析により、概略、次のようなことが明らかになった。 1.EU及び欧州審議会における異文化間教育は、当初の1970年代における移民の子どもたちへの教育の一時的な対応から、今日、異文化間教育を追究する方向にあり、このこと自体がヨーロッパにおける政策担当者の共通理解となっていること。 2.ヨーロッパの異文化間教育は、多文化社会が現実化する各国にとって不可欠の教育であるということが意識され、各国とも精力的に異文化間教育の実践とその評価を行っていること。 3.とくにその場合、青少年期(15歳から25歳)における教育と教師養成及び再教育(継続教育)が重視されつつあること。 4.異文化間教育には、一方で、言語的、宗教的、文化的マイノリティへの教育(これには移民に基づくマイノリティと旧来からの地域的マイノリティ、ジプシー、職業旅行者などのいわば歴史的マイノリティ)とマジョリティとしての受入側に対する教育の双方が含まれており、とくに最近は異文化共生の成功のためには後者の教育の正否が大きいことが意識されていること。 次年度にはこうした成果をまとめた上で、現地に赴き、関係分野の専門家・研究者によるレビューをうけ、このような知見の深化、発展を期する予定である。
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