1997 Fiscal Year Annual Research Report
大阪の沖縄音楽文化-音楽を通してみる移民社会のアイデンティティー
Project/Area Number |
09871058
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
寺田 吉孝 国立民族学博物館, 第2研究部, 助手 (00290924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹原 亮二 国立民族学博物館, 第1研究部, 助手 (90290923)
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Keywords | 沖縄 / 音楽文化 / 大阪市 / 大正区 / アイデンティティー |
Research Abstract |
大阪市には、大正区を中心として沖縄県外で最大級の沖縄県人コミュニティーがある。本研究では、この地域に住む沖縄出身者がいかに音楽を生産・消費しているか、またかれらの音楽文化が沖縄人のアイデンティテイーとどのように関わっているかを探った。本年度は、研究者自身(寺田)も沖縄音楽の学習者として直接参加する形で参与観察を継続する一方、様々なジャンルの音楽の演奏家、愛好家にインタビューを実施した。 「研究所」とよばれる音楽教習所、民謡酒場、沖縄県人グループ主催の式典や記念祭などでも、音楽の演奏や習得の諸コンテクストを調査した。参与観察を行ったイベントは、野村流古典音楽協会関西支部65周年記念演奏会、映画「ガマ」1周年記念大会、琉球浪漫コンサート(以上平成9年4月)、読谷郷友会祭り(6月)大阪エイサ-大会、琉球フェスティヴァル(9月)、11・2団結まつり(11月)、野村流古典音楽保存会新年互例会、町田古典音楽研究所新年弾き初め会(10年1月)、古典音楽保存会合同リハ-サル(3月)などである。また、沖縄において移民音楽文化の研究者と研究方法に関する討議を行い、大阪・沖縄間の文化交流について実地調査を実施した(10年2月)。さらに、他地方における沖縄県人社会の音楽文化との比較をするため、尼崎および川崎において聞き取り調査を行った。調査中は、音楽を集団的アイデンティティーとの固定した関係からみるのではなく、沖縄の音楽が大阪においていかに変容するか、そしてその変容が移り変わる沖縄出身者のアイデンティティーとどのような動態的関係を持ちうるのかを解明することに留意した。
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