1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09871060
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
芳井 研一 新潟大学, 人文学部, 教授 (90092634)
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Keywords | 間島問題 / 延辺 / 「満州事変」 / 移住朝鮮人 / 裏日本 / 環日本海 |
Research Abstract |
本年も、関連する根本資料や文献を収集しつつ、基礎的な研究を進めた。国会図書館憲政資料室所蔵の「寺内正毅文書」・「片倉衷関係文書」、アメリカ議会図書館所蔵の満鉄関係資料マイクロフィルム、慶応大学所蔵の「村上義一関係文書」、外務省外交史料館所蔵の「吉会鉄道関係一件」・「木邦航運関係雑件」などについて、それぞれの資料所蔵機関を訪ねて閲覧し、間島問題にかかわる資料をコピーやマイクロフィルムで入手した。 収集した諸資料の分析によって、次のような点を明らかにした。第一に、間島問題の出発点において伊藤博文と田中義一の路線が対立したが、伊藤の採った方針はその後の外務省の対満政策を枠づけることになった。第二に、ただし全局面をリードするのは対露(ソ)戦準備を優先する陸軍の思惑であった。第三に、中国側は間島問題にかかわらせての日本の進出を拒否しようとするが、人口増加に伴う諸産業の発展のなかで辺境の開発という吉林省内の地域的課題を同時に抱え込んでいた。第四に、1920年代には日本の満鉄培養線敷設や吉会線敷設への期待と、中国側の自弁鉄道敷設への渇望とが衝突することになり、間島の朝鮮人問題を媒介として両者の矛盾が表面化した。第五に、同時期に日本では「裏日本」の地域的発展を旗印として、朝鮮北東部の港を介した日満最短航路の幹線化を求める運動が盛んになり、「日本海湖水化」論が展開された。 これらの成果の一部については、すでに論文として公表し、また部分的に印刷・製本した。なお本テーマにかかわる基礎的な研究成果をとりまとめ、刊行する予定である。
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