1997 Fiscal Year Annual Research Report
非日本語話者に対する災害時の緊急言語情報の与え方に関する調査・研究
Project/Area Number |
09871066
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 和之 弘前大学, 人文学部, 助教授 (40133912)
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Keywords | Easy Japanese / やさしい日本語 / 日本語 / 外国語 / 外国人 / 地震 / 災害情報 / 国際化 |
Research Abstract |
日本経済の強さは、日本から外へというだけの関係に留まらず、日本国内に、日本語を母語としない人々を多数受け入れるという、内なる国際化をも意味していた。しかし一方で、95年の阪神大震災によって、日本は、日本語を話せない人々に十分な危険情報や生活情報を流せなかったという現実に直面した。 本年度の研究では、このようなことから、外国人被災者たちは、どこから、どうやって必要な情報を入手したのか、不足していたことは何だったのかということについての調査を行った。 被災した外国人や外国人対応を行った機関などからの聞き取りを行った結果、被災外国人が災害発生後にとった典型的な行動は、いくつかの具体的な事例に集約できた。 ・情報はマスコミに頼らず、もっぱら近所の日本人や身内、同国籍の友人に求めた ・教会やボランティア団体が提供する情報に頼った ・テレビやラジオから情報は盛んに流れるが、日本語ばかりで理解できなかった ・新聞からの情報を得るために、毎日何時間も辞書を片手に漢字を調べて読んだ ・テレビのニュースの画面を見つめて何が起きたのかを推測しようとした ・日本語以外での災害情報が少ないことから不安になり帰国した 日本国内に居住する外国人の多くは、地震についての経験則がないだけでなく、そのまた多くは、日本語にも英語にも精通していない人々であったため、結果的に情報からも隔離される形になっていたことが判明した。 次年度は、本年度得られた結果をもとに、日本語を十分に理解できない人々に対して災害時には「どのような情報を流すべきか」という情報の種類についての調査を進める。
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