1997 Fiscal Year Annual Research Report
マイノリティ文学としてのル-マニア.ドイツ語文学の歴史と現在
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09871078
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 恭子 東北大学, 言語文化部, 助教授 (80241561)
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Keywords | ル-マニア / ドイツ文学 / ドイツ語 / マイノリティ / ブコヴィナ / ジ-ベンビュルゲン / バナ-ト / 多文化 |
Research Abstract |
ル-マニアの3つの地域でドイツ語マイノリティがそれぞれ独自に展開している文学営為を対象とする本研究は、平成9年度を通して、a)基礎資料収集、b)資料整理、インターネット上での公開を目的としたデータベース作成、c)基礎資料にもとづくドイツ語マイノリティ集団のアイデンティティと文学表現の分析、について作業を進めた。 1)ブコヴィナ、ジ-ベンビュルゲン、バナ-トの各地域におけるドイツ語文学の作品、作家の伝記的資料、ル-マニア国内での出版事情、国内外での受容状況、さらにはドイツ語マイノリティ形成の歴史、現在の政治的立場および教育体制、教育・文化政策との関係等について、刊行文献での調査、日本国内機関での調査、インターネットでのデータベース検索、ドイツのブコヴィナ研究所やオーストリア・グラーツ大学ドイツ語ドイツ文学研究所、アメリカ・ヒューストン大学古典近代語学部等国外機関への書面による問い合わせにより、資料収集をはかった。上記の国外諸機関とは、今後の資料収集に対する協力関係を構築する事が出来た。 2)現在及び将来の調査研究方針を確認するため、ル-マニア・ドイツ語文学研究の先駆者であり第一人者であるAnton Schwob、Dietmar Goltschniggグラーツ大学両教授に面談し、必要な批評と助言を得た。またブカレストのドイツ系出版社や図書館で担当者と面談し、今後の資料収集体制について必要な情報を得ると同時に、確立の足がかりをつかんだ。 3)収集した資料について、文献データを中心にデータベースを試作した。将来、双方向でのデータベース構築が可能なように、インターネット上で作成する方法を選択した。 4)研究成果の一部として、ブコヴィナ地域出身の詩人アルフレート・キットナーに注目し、マイノリティ集団のアイデンティティ形成の歴史と文学表現の関連について分析した論文「アルフレート・キットナーとブコヴィナ文学-あるマイノリティ文学における詩人の肖像」を発表した。また、ヒューストン大学助教授エ-リカ・ニールセン著の論文「歴史状況と地域文化-現代ル-マニア・ドイツ語文学の現状について」を日本語に訳出して、発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 藤田恭子: "アルフレート・キットナーとブコヴィナ文学-あるマイノリティ文学における詩人の肖像" 東北ドイツ文学研究. 41号. 57-95 (1997)
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[Publications] エ-リカ・ニールセン著, 藤田恭子訳: "歴史状況と地域文化-現代ル-マニア・ドイツ語文学の現状について" 言語と文化. 8号. 185-209 (1997)