1997 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期における「官僚制」の特色とその運用に関する研究
Project/Area Number |
09872002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 忠久 千葉大学, 法経学部, 助教授 (60241931)
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Keywords | 官僚制 / 近世後期 / 民意 |
Research Abstract |
1.本年度は活字化されている諸々の史料集を購入するとともに、東北大学狩野文庫、国立国会図書館、東京大学法制資料室、早稲田大学図書館等への史料調査を実施し、近世後期における江戸幕府の官僚制の特色が示されていると思われる諸史集の収集に努めてきた。 2.その上で、特に江戸を中心とする都市政策に焦点を当てて、種々の官僚組織のなかで、いかなる機関が政策を推進するに際して、具体的にどのような動きを見せていたのかという点の究明を目的として、データーを整理した。さらにその際には、個々の政策立案において、いかなる人物がどのように関わり、そしてどのような見解を持っていたのかという点にも配慮した。 3.このような調査、そしてデーターの整理の結果、おおよそ次のような新たな視点を導き出すことができたと思われる。すなわち江戸の三廻り(定廻、隠密廻、臨時廻)という従来注目されていなかった機関が、政策を遂行するに際して、民意を積極的に吸収し、いわば「潤滑油」的な役割を果たしていたことが窺われることである。そしてこの点は近世後期に特有の現象と考えられるのである。 4.以上のような新しい観点を基礎として、次年度においては、近世後期の官僚制の運用のあり方の特色についてさらに追究してゆく予定である。
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