1997 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ中西部におけるア-ミッシュの馬車用SMV標識裁判に関する研究
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09872011
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
大河原 眞美 高崎経済大学, 地域政策学部, 助教授 (40233051)
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Keywords | ア-ミッシュ / 馬車 / ミネソタ州 / ウィスコンシン州 / 遅速車標識 / 信教自由復活法(RFRA) / スミス判決 / 信教の自由条項 |
Research Abstract |
本研究では、ミネソタ州とウィスコンシン州のア-ミッシュの遅速車(Slow-moving Vehicle)標識をめぐる裁判からアメリカ社会における宗教的少数派の信教の自由を考察するものである。平成9年度の研究実施計画の資料収集により明かになったことは以下の4点である。 1)ア-ミッシュは、馬車を単なる交通手段でなくア-ミッシュを外界からまもるシンボルとしてとらえている。 2)中西部のア-ミッシュは外界との忌避に徹しているため、ア-ミッシュ・ベルトのア-ミッシュに比べるとア-ミッシュ観光業に従事せず、自給自足を旨とする生活をおくっている。このため、地域住民がア-ミッシュによって経済的に潤うことなく、ア-ミッシュに不寛容になりやすい土壌がある。 3)アメリカの信教の自由をめぐる論争は、その宗教的行為がアメリカ社会に悪影響を及ぼさないと立証されれば、アメリカ社会は比較的寛容になるが交通法規のように共有しなければならないものに対して神経質な反応を示す。 4)ア-ミッシュの遅速車標識裁判が最終的にミネソタ州最高裁やウィスコンシン州最高裁で勝訴となったのは、両州が19世紀半ばに連邦に加入したため連邦憲法や東部の州憲法より信教の自由の寛容な解釈することによる。 本研究の平成9年度の結果はアメリカのアスペンで開催される今年度のアメリカ法社会学会(Law and Society Association)の年次大会で1998年6月4日に報告を予定している。
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